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後立山裏銀座 読売新道登る

■山行日:2017年09月21日(木)
■山:針ノ木岳・赤牛岳
■目的:縦走
■ルート:奥黒部ヒュッテ(05:00)-赤牛岳(10:00)-水晶岳(15:00)

相部屋のソロ男性が出て行くのを寝ぼけ眼で見送る
もそもそと、コーヒーを沸かし、身支度を済ませると、5時前

小屋の前で天気を確認していると、テン場から、学生っぽい男子が現れた
  「読売新道は、どう行けば良いですか?」

何から何まで、パリっとしたスタイル、山を始めたばかりの匂いがする彼に
「水場の向こうだよ」 とりつきを教えるが、このルート歩けるのだろうか?


ソロ男子君の後を追い、歩き始めて60分、朝日と共に視界が広がると
7年前に歩いたトレイルが蘇る

読売新道は、その行程を8分割し、指標を設置してくれている
1400mもの登攀には、この指標がアクセントとなってありがたい

4/8辺りから、振り返ると昨日の針ノ木岳が雲の中に
そして足元には黒部川を望む

目の覚めるようなダケカンバの紅葉、その足元で休憩するテン泊の彼を抜く
この日、彼とはずっと同行することになるとは、その時は思ってもなかった

5/8樹林帯を完全に抜けると、風を全身に受ける
やはり九月の風は冷たくて、慌てて薄いグローブ、ウィンドブレーカを着込む

ふり返ると、ソロ男子君、その200mほど後方には、緑のキャップの元気なソロ姉さん
二人とも、結構バテバテな感じが伝わってくる

しっかし、でっかい山だなぁ

一歩一歩、痛めた膝を労わりながら、目の前に迫り来る赤牛の
その雄大な姿に、畏敬の念を抱きながら、それでいて笑みがこぼれる

ハイマツと砂礫の間を縫うように、最後の登りを詰めると
あの日と同じように、なだらかに槍まで続くかのような稜線が視界に広がる

あの日のままだ、何にも変わってない、あの日のままだ

二度目の赤牛を、ひとりかみ締めていると、ソロ男子君、ソロ姉さんが
ふらつきながら、ピークへと這い上がって来る

  キツかったっすね
  うんうん想像よりキツかったねー。暑いし寒いし。参ったなー

  でも、この景色は最高ですよねー、と三人で声を揃え
  しばし、赤牛をやっつけた達成感を共有する

そこへ、高齢なソロ女性が、熊鈴を鳴らしながら
水晶方向から、ゆっくりと、それでいて力強い足取りでやって来る

女性はピークを踏むと、声も無くバンザイし、稜線の東端へ小走りで進むと
おーい、おーい、と大きな声で向こうに手を振る

あら恥ずかしいわぁ、見てはったん?
いや、昨日ね、烏帽子小屋の皆さんに約束しましてん
明日は、絶対赤牛まで歩いて、こっち向いて手ぇ振りますで、言うてね

唖然と見守る三名をふり返ると、聞き馴染んだ大阪弁で言った

>
気が済むまで手を振り続けた、そのお母さんがピークに腰を下ろすと
思わず、私も大阪なんですよ、と話しかけ、そこから大休憩となる
なんと、そのお母さん、83歳、自分の母とほぼ同じ年代
周りからは止められながらも、いつもソロでの山行ばかり
それも、登山口までは自分で運転して行かれるそうだ
この夏も北海道でスピード違反でパトカーに止められたばかりだと笑う


もうね、7年越し、三回も諦めてますねん、この赤牛
始めは体力が無くて、その後は、雨やら、風やらでねー
やっと夢が叶いましてん、これは、自分へのご褒美ですねん
と大事そうにザックから箱を出すと、中身はカステラだった
つきおうて貰ったお礼にね、と一切れを頂く
その甘さと、お母さんの大阪弁に、なんだか今、北アルプスの最奥地
3000mを越える赤牛のピークに居ることが現実離れして来る




目の前に広がる、薬師岳からの稜線
秋晴れの北アルプス
一番好きな奥黒部
口に広がるカステラの甘さ


山旅って最高だ


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