
深夜の有峰林道は漆黒の闇の中
自分の運転する車のライトだけが頼り、そのライトに熊の親子が浮かび
慌てて急ブレーキを踏んだ興奮が冷めず、折立に着いても車中では寝付けなかった
予定を20分オーバーしてヘッ電で歩きはじめる
三角点からはくっきりと剱岳、これまで何度ここを歩いただろうか
こんなにも美しく大きな剱岳ははじめてだ
そして、ふり返る富山湾もここまで見えたことは無い
足元には朝靄に煙る有峰湖
その向こう、薄い雲海に浮くのは白山だろう
数歩進むたびに立ち止まっては秋の陽に照らされる風景に魅せられる
その横をトレランの若者が風のように走り過ぎて行く
五光岩の手前
薬師の稜線を見上げると、避難小屋も薬師如来さまの祠も目視できる
あの向こうは切れたち、荒々しいカールがあるとは思えない美しさだ
惚れ惚れと眺めていると、後続のソロ女性が追い抜て行く
平日の今日は追い抜いて行ったランナーふた組と彼女だけのようだ
太郎兵衛平は、さきほどのソロ女性がぽつんと座るだけ
早々に缶ビールを求めて太郎小屋に入ると、しんと静まり返っている
もう夏は終わり、人は街に帰ったのだ
小屋にはそんな静けさが漂っていた
五光岩で追い抜いていったソロ女性と少し会話すると
富山駅前のホテルで前泊して始発の地鉄で有峰口へ
そして予約していたタクシーで折立へ来たそうだ
ザックもウェアも「山と道」ULスタイルの彼女は
雲ノ平にテン泊して明日は新穂高へ下る予定だけど天気が心配だと笑う
テン泊装備でこんな小さなザック、そして新穂へのワンウェイ
きっと山旅には慣れてるのだろう
その若さと笑顔は今日の秋陽と同じくらい眩しくて
先に発つ彼女を見送ると、薬師峠の方までふらっと散歩
紅葉が終わった黒部の山たちは、澄んだ空の下にこんなにも近く見える















コメント