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小屋閉めの雲ノ平 秋麗



太郎兵衛平からの風景を心行くまで眺めたら
さぁ、ぼつぼつ歩こうか




第一渡渉点までは、一気に下る
太郎兵衛平までの登りがふいになるほど下るのは残念

でも下りきるからこそ、そこから見上げる薬師南陵の険しさや
遥か水晶が針葉樹林の合間から覗く秘境感が味わえるのだ


赤牛の背
奥黒部ヒュッテも水晶小屋も閉じた今
あの長い稜線はもう誰も歩いてはいないだろう
静けさに包まれた読売新道の姿を想う
カベッケヶ原はいつもの静寂の中
あの笹藪の中、カッパも冬支度にいそしんでいるのだろう
もう閉じられた薬師沢小屋の前を過ぎると
いつもの喧騒は無く、その静けさは寂しさへと変わる

黒部源流を橋で渡ると雲ノ平までは
樹林に覆われて薄暗く、苔蒸してつるつるな岩の連続
それは自分の中で「苦行の二時間」と呼んでいる我慢の登り
でも今日は何故だか岩も乾いていて、陽射しもたっぷり
そりゃそうか、もう冬前だもの、樹林の葉は落ちきっているのだ

葉が落ち切っていたおかげで、ときおり太郎兵衛平まで見通せるし
何よりも岩が乾いていたおかげでストレスなくサクっと登り詰めることが出来た
あっと言う間に雲ノ平
今は亡き伊藤正一さんの名付けた「アラスカ庭園」
ここから振り返る薬師の美しさ
水晶の大きさ
あぁ秋麗しく

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