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秋の槍を見に行く 天狗池

■山:槍ヶ岳(天狗池)
■山行日:2016年10月09日(日)-10日(月)
■目的:槍を見に行く
■ルート:上高地BT(09:00)-槍沢ロッジ(14:00)
     槍沢ロッジ(05:00)-天狗池(08:30-09:30)-上高地BT(16:00)

今秋の週末は雨ばかり
この数年は夏山よりも秋に重点を置いている自分としては
歩き足りない感が重なり、何をするにも俯いてばかり

この三連休こそ!
とばかり、いろんなルートを妄想していたが雨模様
もう、いいや、そんな年もあるさ
と、あきらめていた三連休初日の午後から
後半二日間の予報が好転し始めた

となると、一泊なら動けそうだ

行き先を悩む頭に、先日、関西の山の師匠から
天狗池の紅葉画像がLineで送られて来た事を思い出す

よし、天狗原からの槍と紅葉を見に行くか
今年の紅葉は今ひとつ、しかも時期が遅いけれど
秋空の下、槍沢を歩くのもいいじゃないか

三連休の中日、沢渡の大駐車場は意外にも空きが目立つ
やはり、雨予報で断念した人が多いのだろう
乗合の大型タクシーで上高地BTに着くと、予報通り小雨
レインスーツで歩き始める

明神館までに小雨もあがり、雨上がりのガスに煙る森を歩く

人で溢れかえる横尾に着く頃には、予報通り晴れ間も現れ
少し汗ばみながら、槍沢ルートへと進む

実はこのルート、初めて歩くのだ
これまで槍は、奥穂高からの縦走と、黄金平から天狗池経由での
ルート(後者は殺生ヒュッテまで)しか歩いていない

その始めてのルートは、想像していたよりも自分好み
色付き始めた森の中、沢沿いに歩くのは、何とも心地よい

ワサビ沢、槍見沢、一ノ俣、二ノ俣
いくつもの小さな沢が支流となって
コメツガ、シラビソの原生林の森から梓川源流に流れ込み
いつしかあの大きな流れとなる

トレイルは川を挟んで紅葉が進む
淡い赤と黄色に、ダケカンバの白い枝が映え
パステル調の風景画のような色彩に目を奪われ脚が進まない
谷間に陽射しが届かなくてもここまで美しい

槍沢ロッジに着いて分かった
「ロッヂ」なんだ

15時の入浴タイムまで1時間、2Fの部屋でうとうと昼寝
そして風呂上りに生ビール
通路の広さと、清潔さが快適なこのロッヂ、何とも居心地が好い

朝食は頼まず、5時過ぎに歩き始める
ヘッ電のライトの先は樹林帯、そしてババ平のテン場を通過する頃
常念の方から空が赤く染まり始める
そして徐々に右岸に大きな壁が聳えるのが分かる

白沢、赤沢、曲沢、五郎沢
小さな沢がいくつも流れ落ちるトレイルを進むと
常念からの朝陽が、稜線に届く

あの稜線はどこだろう
まさか南岳までは見えないだろう

徐々に色が広がり始めるシーンに見とれ、脚が止まる

大曲まで詰めると、目の前の稜線全てを朝陽が輝かせてくれた

間違いない、横尾尾根、中岳、大喰岳だ
そして久しぶりに近くで拝む槍

天狗原分岐で座り込み、パンとコーヒーで朝食
空は目が痛いほどの青空、からっからに乾いた秋風

ここから先は2008年に、向こうから下った
バリエーションルートである黄金平からテン泊装備で彷徨い
ヘロヘロになって下ったのだ

あの日を想いながら、モレーンをグリーンバンドへと進む
足元には、梓川源流が凍り付き、一歩踏む度にメキメキと音を立てる

遥か遠き氷河時代に作られたモレーンにも、所々ナナカマドが立ち
秋の風に、その紅い葉を揺らせている

何故だろうか、その姿に、深い深い寂寥感が込みあがる

グリーンバンドを超え、天狗池へと下る

ロッヂで聞いていた通り、水も少なく、紅葉も終わっていた
楽しみにしていた風景は、思いのほか風も強く
湖面に映る槍の姿も今ひとつで、なんだか冴えない

それよりも、東に望む稜線だ

あの、槍を正面に見据えるズルいテン場のある西岳
小屋で買ったパック牛乳が、死ぬほど美味しかったっけ
燕岳に、白馬の冠雪が輝いて見えた大天井

期待していた槍よりも、東鎌尾根ばかりずっと眺め
2008年の縦走を懐かしく想い返していた

静かな谷間に、昨日は届かなかった秋の陽射しが降り注ぎ
黄金色に輝かせてくれる
その静けさの中をひとりきりで歩く

きっと多くの人で溢れかえっているであろう涸沢と比べ
槍沢の、ひっそりした感じは、下りのルートでも続いていた

その静けさの中で想う

槍を見に来たはずなのに、なんだろう、この満たされない気持ち
紅葉に遅すぎたから?風が強かったから?

いや、そうじゃない

なんだか釈然としないのは
きっと自分は、楽しみにしていた天狗池からの槍よりも

モレーンに揺れるナナカマド
朝焼けに染まる稜線
聳え立つ横尾尾根
いくつもの小さな沢が集まる梓川源流

始めての槍沢ルートそのものに、心を奪われてしまったのだ

そうか、そうなんだ

そう分かると、落ち着いた気持ちになり
槍沢ルート、オレは気に入ったぞ!と何度もつぶやきながら上高地まで下った

もう晩秋の静けさの槍沢から、まだ紅葉を楽しむ観光客の喧騒の河童橋へ
中心に流れる梓川は、あのモレーンから最初の一滴が落ちている

その流れに、遥か遠き氷河の時代を想った

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コメント

コメント一覧 (6件)

  • SECRET: 0
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    槍を見に天狗池に行く、いいですね。
    私もやってみたいなぁ。
    でも、電車だのバスだの使ってはるばるいくと
    これって、とっても贅沢かも。
    なかなか踏ん切りがつきませんね、きっと(^^ゞ
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  • SECRET: 0
    PASS:
    1枚目の写真を見て、あれっ!? と思いました。
    3年前の秋、槍の帰りに天狗池に寄り道した時に撮った写真と同じ構図で、その写真は自宅PCのデスクトップに貼ってあります。
    ナナカマドの赤い葉っぱと実は付いてますが・・・ (^。^)
    槍沢ルート、私も大好きです。澄んだ川のせせらぎがとても良いですよね!
    天狗池分岐を過ぎてから、ど~んと姿を現す槍に感動しました。
    でも、見えてからなかなか近づかない蟻地獄みたいな道には疲れましたが・・・ (^^;)

    でも、また行きたくなっちゃっいました~!
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    palletさん
    確かに、贅沢ですよねー
    自分でもそう思います^^;
    でも、たまにはそんなプランもいいかなと
    それも初日が雨だったからこそ、なのですが^^
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    GRIさん
    槍の帰り!
    そう、やっぱこのルートはそれが正解ですね
    実は私は、槍沢は長いだけのつまらない
    ルートかと勝手に思い込んでましたが
    大好きになりました、いや、もちろん
    分岐から先の長さは知ってますが^^ 0

  • SECRET: 0
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    槍沢のルート、良いでしょ〜
    できれば、ババ平でテン泊キボンヌでしたが・・・

    でもなんだろう・・・同じ日に、また同じ場所にいたのですね・・・
    10日の上高地は早い時間に新島々まで戻っており・・・
    霞沢岳までピストンしていれば上高地BTでバッタリもあったかも・・・

    あぁ・・・僕たちの赤い糸は・・・ 0

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    katsu♨さん

    ……また?マジで?

    そうでしたか、あのクラシックルートの日も
    私たちは出逢えなかったのですね
    こうなったらアレですね、お互いのブログで
    「赤い運命」シリーズでも定期連載しましょうか(^^;)
    0

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