沢渡BT第二便のバスで大正池に降り立つと、もうため息しか出ない
冠雪した穂高と焼岳、その稜線が写り込む湖面
早朝からカメラを抱えた人たちは誰一人声を発しない
まるでその声が湖面を揺らすのを恐れているかのように
ぴんっと張り詰めた空気の大正池を離れると
田代湖に向かって歩く木道は凍てついて
前を歩くカメラマンたちの吐く白い息を追いかける
田代湖は風の通る大正池よりも冷え切っていた
カメラを持つ手が震え、足先がじんじんと凍え、すぐにでも逃げ出したくなるが
モノクロフィルムで映されたような湖畔の姿に惹き込まれ
動くことも出来ずただその美しさの中で震えていた
穂高橋の手前から河原に降りると、足元の砂利が凍っていた
滑らないよう一歩一一歩踏みしめながら穂高に向かって歩く
河原から見上げる、それだけで穂高はいつもよりも大きく、いつもより厳か
梓川の河原からは靄が立ち込めて
ようやく霞沢に遮られていた朝陽が射すと朝靄の中に神が降りて来た
やはりここは神降地だ
霧氷に射す朝陽は力強く、あっと言う間に梢から溶けはじめ
きらきらと輝く様はまるで神の雫
残念ながら河童橋は朝一番の観光バスでやって来た外国人ツーリストで賑わっていて
橋を渡るのも一苦労する状態、そんな喧騒にげんなりして足早に逃げ出す
岳沢湿原の中を抜け、この日登ろうと決めていた見晴台へ進む
足元の木道はつるっつるで危険、慎重に歩いていると雲行きが怪しくなって来た
岳沢は2009年7月に西穂高からジャンダルムを経て奥穂高へ縦走し
そのまま上高地へと下山した際に一度歩いたっきり、まさに14年ぶりだ
とは言ってもあの日はジャンダルムを登頂した興奮に酔ったまま
ふらふらと下山しただけなので、正直まったく記憶がない
閉山日の上高地を穂高の麓から見降ろしたくてやって来た見晴台は
いつの間にか曇天の中、小雪も舞いはじめ、足元に広がる上高地もガスの中
誰もいない静けさの中、穂高から降りて来る雪雲に包まれて
しんしんと冷え込んでゆく空気に冬の訪れを感じていると
このまま一人穂高の冬に閉じ込められてしまいそうな錯覚に包まれて
急に心細くなると逃げるように見晴台から下り始めた
もう誰も歩いていない湿原を抜けて河童橋まで戻ると
閉山式のセレモニーが始まろうとしているのをスルーし小梨平へ
そして最後に穂高を仰ぎ見てご挨拶
どんどん降りて来る雪雲に包まれた穂高の姿に
来年は久しぶりに歩くことを誓うと
雪の舞う閉山式へと急いだ























コメント
コメント一覧 (2件)
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まさに神降地。
いつの季節も素晴らしい。
スロさん、いつも素敵な景色をありがとう。 1
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palletさん
ありがとうございます
自分でも今回の上高地の写真と動画は過去イチの出来栄えだと
自画自賛しています(てへへっ ^^;) 1