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遠い頂き 平ヶ岳



■山行日:2022年09月25日
■:山:平ヶ岳
■目的:高層湿原
■ルート:登山口(05:00)-池ノ岳(11:20-12:50)-登山口(17:00)

いつか歩きたかった平ヶ岳
百名山の中でも難関とされる山の一つである
その理由はCT12時間のロングルートにも関わらず
営業小屋も避難小屋も無いうえにテント泊も禁止と言う条件だ

そんな平ヶ岳を目指して深夜の高速を新潟へとひた走り
さらに銀山平へ向かう酷道マニアには有名な奥只見シルバーラインを進む
この道路は視界が狭く(いや実際に狭い道路だけど)疲れる上に
登山口はさらに60分たっぷりグネグネ道を行くことになる
実はグネグネ道は苦手で、関西在住の頃も大台ヶ原ドライブウェイでさえ
自ら運転しながらも車酔いするレベルなので、登山口に着いた頃はふらふらだった
そんなバッドコンディションで歩き始めたのは5時だ
登山口からは、未だ薄暗い林道のような広い道を進む
やがて沢を渡ると徐々に登山道っぽくなり、30分ほどで早くも痩せ尾根となる
この痩せ尾根の姿はネットで事前確認済みではあったが、思ったより登場が早いぞ!
陽射しを直接受ける痩せ尾根で大汗をかいて水不足になる
どの記録を見ても皆さん同じように記されている通りで
歩き始め30分でもう全身びっしょりの汗
朝から汗で不快指数がマックス
それでも振り返ると、燧ケ岳が目の前に聳え
標高が上がるにつれて、迫って来そうなほど近く感じる姿に見とれてしまう
稜線まで、何度眺めても日影は無く、そして急登だ
足元はときおり露岩となり、お助けロープや鎖もあるレベル
その急登でいきなり左の脹脛が攣ってしまい、段差の途中で悶絶
その直後の大きな段差では、同じく左脚の腿が攣り、ついにダウン
おいおいマジかよ、まだルートの1/3にも達していないぞ
どうにか段差の部分は慎重にやり過ごせ、稜線に乗っかると一休み
きっとこれは汗をかきすぎて、ちょっとした脱水状態に陥ったのだろう
いつもは持ち歩かないポカリスエットを偶然にも1本持っていて
ほぼ一気で飲み干すと、なんだか落ち着いて来た
稜線は軽いアップダウンをしながら、燧ケ岳を真っすぐ目指しながら進む
台倉山まで、トレイル稜線の北側、南側をいったり来たり
そのトレイル上でふっと見えた大きな山のカタチ
え?マジ?あんなところまで歩くの??
その目的地までの遠さに身体が反応したのだろうか
ちょっとした段差にまたぞろ左脚が攣り始めた
それは脹脛と、太腿が交互に攣るという
まるで質の悪い罰ゲーム状態だ
そんな罰ゲームでもスローペースでのろのろと歩く
水場のある台倉清水から先は木道となり、アップダウンが無いぶん楽
が、当然だけどその木道も終わり、また降り登り返す
その頃はついに右の太腿までが攣り、もう満身創痍
いや、もう少しだけ、あとちょっとだけ、せめて山頂が見えるまで
どうしようどうしよう
これ以上無理して下山できなくなったら?いやいやあと少しだけ
そんな葛藤を続けながら歩いていると、ふっと右手の視界が広がる
よく見ると足元に只見湖が見える、じゃあのバックの大きな山は飯豊だな?
あぁ、ほら正面の稜線、あれは山頂へ続いているぞ
もうすぐじゃないか!
半歩づつ歩いては脂汗をしたたらせ、ときおり悲鳴を漏らしながら
ピクピクと震える脚を抑えてる横を不審者を見る目で通り過ぎる山ガール
分かるよ分る、オレだってこんなオヤジが近くに居たら気持ち悪いもん
只見湖が見えてから、立ち止まっては半歩、脂汗を拭いてはまた半歩
きっと5,6分も有れば登れるところを35分もかけて
ようやく木道に乗っかると、空の蒼さが染みた
木道の先、針葉樹の森を抜けると一気に世界が変わった
あぁこれだ、この世界を見たかったのだ
と、感動のひとこまのはずが、池塘の端にあるウッドデッキに倒れ込み
両足をバタバタさせながら靴を脱ぎ、つま先を伸ばしては悲鳴をあげ
腿をさすっては悲鳴をあげ、まるで罠にかかって打ち上げられたアザラシ
(いや、そんなの見たことないけどさー)
20分以上痛みと眠さで気を失ったように寝転んでた
ふっと目が覚めたのは寒さだった、乾く間もないほど
次から次へと流れ落ちた汗で身体が冷え切っていたのだ
さぁ、山頂まで、三角点まで行こう
と、立ち上がるも足腰はまだ震えていて自分を支えきれず崩れ落ちた
ウソだろおい、ここまで来れたじゃないか、あと1.1キロだ、ほらそこに見えてるぞ
そのあと少しが歩けず、デッキに倒れ込む情けなさに泣きそうになる
脚に負荷をかけないよう、ゆっくりと起き上がると周囲を見渡す
澄んだ空が散らばる池塘の鏡に映り込んではキラキラと反射し
黄金色のススキはゆるやかな風に揺れ
越後三山、荒沢岳、谷川、苗場、巻機と池塘の向こうに山たちが並ぶ
もういいか、ここでいいか
歩けないよ、たった1キロが
これだけの風景の中に居られるんだ
三角点踏めなくったって、玉子岩も拝めなくったっていいじゃないか
そう諦めがつくと、急に空腹を思い出してお弁当を頂く
風は秋色草紅葉
さぁて、下山もたいへんだぞ
と腰を上げると、どこまでも澄んだ空を仰ぎながらゆっくりと下山した
登山口までも遠く、登山口からも遠き山
またいつか秋の日に来ることを誓う

コメント

コメント一覧 (8件)

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    きれいな秋空にきれいな草紅葉、池塘もキラキラしてて良い所ですね~! 
    一度は行ってみたいと思ってたけど、プリンスコースかな~ (^^;)

    それにしても、 ツムラ 68 持ってなかったの ? 0

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    この日は暑かったですもんね!
    >まるで罠にかかって打ち上げられたアザラシ
    じたばたしている姿を想像すると笑いがこみあげてくるのですが、うまい表現だわー。
    スロさんでもたどり着けないほどやっぱりハードなんですね、ここは。
    でもこんな素晴らしい高層湿原が見れたんだもの、
    たまご石見れなくても十分この山の特徴を味わえたのではないでしょうか。
    とんかつの横にちょこんと赤いたこさんがいるお弁当も可愛くて素敵。
    次回はきっとたまご弁当ね。
    ・・それはそうと、この記事の投稿日が未来日付になっているのは?
    私、自分の頭が信じられなくてカレンダーを何度も見てしまいました。

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    スロさん、おつかれさまです。
    こんなハードな山にも、
    ちゃんとタコさんウインナーのお弁当持参なのね。
    きれいな高層湿原、池塘ですねぇ。
    それに、めちゃめちゃ良い天気。
    バッチグーです。
    フクラハギ、つるのよねぇ。
    ポカリがあって良かったです。

    わたしはレポを読ませていただくだけで、
    ありがたいです~

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    GRIさん

    プププ、プリンスコースですか!?
    何をおっしゃいますやら~
    GRIさんご夫妻なら5時間でピストンできると思いますよ^^
    ツムラ68、トレランやマラソンされる方は常備されてるようですね
    私は以前、北アルプスの遭対協の方にポカリがいちばん即効性がある
    と聞いて以来、攣りにはポカリと思い込んでます
    でも、今回の両足攣りには懲り懲りで、芍薬甘草湯を発注しました^^

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    cyu2さん

    えぇえぇ、もう充分ですよ、これだけの景色を堪能できたなら^^
    でもアクシデントさえなければ三角点も玉子も周回して
    ルンルンで下山してたかと思います(ほんまかいな(^^;)
    弁当ね、実は体力使い切って食べる元気もなく半分残したという
    ほんと情けない山行でしたよ(涙
    日付!すごいところ気付きましたね!ってか何だこれ?
    さっそく修正しました、ありがとう^^
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    ヤコさん

    そうなんです
    ハードな山だろうがお花畑だろうがメシは大事なのです
    (って、疲れ切って半分残したのですが^^;)
    高層湿原、良きでしょ?晴れてたから一層美しかったです
    yakoさんも、ここはキツいかもしれないけど
    尾瀬エリアはこんなカンジの山容が多いのでぜひ遠征してくださいな^^ 0

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    スロさん、平ヶ岳残念でしたね。
    スロさんでさえこんなに大変なんだから
    私にはやっぱりプリンスコースピストンしかなかったなぁと
    あらためて(当然なんだけど)納得しています。
    いえね、自分のレポのリコメに「あと、帰ってから気づいたんだけれど
    上りは裏技使って、帰りのクルマをキャンセルし
    鷹ノ巣へ下りるって言う選択肢もあったんじゃないかなと思っています。」
    なんて書いてたのを発見したので(^^;;
    https://sorairo02.exblog.jp/21959057/

    遠路クルマを運転してそのまま登山はさぞかし大変だったかと。
    次回は少なくとも深夜ではなく夕刻までに登山口に入ってしっかり車中泊するか
    鷹ノ巣の民宿に前泊してピストンはどうかしら…って
    余計なお世話(文字通りの老婆心)ですね、ごめんなさい。 0

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    palletさん

    いえいえ、アクシデントさえなければ山頂もたまごも周って
    ルンルンで下山でしたよ(って、悔し紛れにもほどがある^^;)
    下山路を鷹ノ巣方面はいろんな意味で選択しなくて正解だったかと^^;
    palletさんの山行記録拝見するとプリンスルートも魅力的じゃないですか
    (と、次回への伏線を貼っておきます^^)
    しかし山頂直下の池塘の美しいことったら!それに平ヶ岳=紅葉時期
    って思いこんでましたけど、新緑+残雪も美しいですね
    おかげさまで、ますますリベンジ欲が湧いてきました^^ 1

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