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北アルプス原風景 薬師岳(前)


■山行日:2021年07月30日ー31日
■山:薬師岳
■目的:黒部を望む
■ルート:折立(04:45)ー太郎兵衛平(08:45ー09:15)ー薬師岳(12:00)ー太郎小屋(14:00)
     太郎小屋(05:30)ー太郎山(05:50ー06:20)-折立(09:00)

なぜだか衝動的に北アルプスに行きたくなった
新型コロナのワクチン接種も二回目を終えた安心感と
今月中に消化しなければならない休暇もあって
その衝動にまかせてふらりと行くことにした

行き先は私的北アルプス原風景の山
薬師岳だ
いつもの深夜帯と違って平日の午後、ゆるやかな流れの中央道をやっと降りて
そこから気が遠くなるほど長いドライブ
上高地を超えて奥飛騨を過ぎて神岡へ入り、飛越トンネルから有峰林道東谷線へ
もう、その辺りで自宅を出て5時間近く要している
しかし、まだ先がある
ワインディングな林道を湖沿いから西岸線に分岐して見事なブナの森を走る
もう陽が傾きかけた湖の向こう、どんどん近づいて来るのは薬師岳
あぁ、こんなふうに見えるんだ
この姿を拝めたら、疲れなんてどこへ行ったのやら
さぁ明日はあの稜線を歩くぞ
熊避けが設置されている折立キャンプ場で車中泊
歩きだしたのは翌朝04時45分
やはりこのルート、樹林帯はこの時間でも湿度が高く蒸している
60分でアラレ平(勝手に命名したアラレちゃんポスター場所)
そこから30分でP1871三角点だ
立山方向を睨むと、堂々たる劔岳の遠望
居合わせた同年輩の方と、ころころ変わる天気予報について互い意見交換
やはりどの予報も午後から崩れると共通認識、それは覚悟していたが
明日の予報も悪い方向へ変わり始めている事を再確認すると
なんだか休憩後の足取りも重くなる
予報は悪い方へ流れるが、そればかりは仕方ない
それよりもこの晴天、この一瞬の美しさ、それは今だけのもの
ほら、薬師の稜線を立山からの風が流れ、雲を降ろしている
まるで滝雲のようじゃないか
三角点からは軽くアップダウンを繰り返すと樹林を抜ける
そしてトレイルは、ゆるやかだけど、石がゴロつき始め
チングルマの果穂、まだ残ってるキスゲ、キンコウカ
そんな花たちが目を楽しませてくれる
この辺りから望む北ノ俣ピークもいいカタチだ
昨年に続き、今年も晩秋の頃にあのピークを踏みたと思う
どんどん沸き上がるガスが、雲に変わり稜線を覆って行く
天気は下り坂
その不吉な予報の通りなのか、単なる夏の気候なのか不明だけど
いかにもナツヤマらしいシーンに見とれてしまう
五光岩を過ぎると、さらに緩やかな木道となり
その脇にはチングルマの群生
そして太郎兵衛平が見え始める
その太郎兵衛平直下では花が咲き乱れ
なかなか脚が進まない
そして太郎小屋前で悩む
黒部五郎への稜線は明るいけれど向かう薬師と水晶は黒雲が立ち込めている
そして小屋のボードにある明日の予報は、雨と記されている
となるとだ、今日だろうが明日だろうが薬師は雨の登山になるんだ
じゃ今だ、今この降っていない時間に歩こう
厚い雲が流れる中、薬師峠へと向かう
ふり返ると北ノ俣からの稜線上だけは青空だ
山って不思議なもので、雲一つない青空ハイクはもちろん美しい
でも、こんな風に刻々と変化する山の風景こそ登山の醍醐味だろう
そんなことを想っていたら、いつの間にか空の青いところは無くなり
曇天から、ぽつり、ぽつりと雨
沢筋を過ぎて、さぁこれからお花畑と言うところで
残念ながらカメラをザックに納めることに
小雨は降ったり止んだり
なんだか疲れ切って薬師山荘で完全に脚が止まってしまう
いやいや、あとたった60分だ、ピークは踏まないと
ここまで何しに来たのだ
と、重い脚を引きずり砂礫のトレイルをジグザグに進む
ふり返ると薬師岳山荘の上だけ青空
稜線のケルンで一瞬雨が止むと、ザックを置いて急いでピークへ進むが、また雨
祠で手を合わせると、そそくさと引き返す
ケルンまで戻ると、一瞬青空が
そして北方には高天原、その遠く向こうに薬師見平が見えた
うん、いいじゃないか
この一瞬だけでピーク踏んだ甲斐があったよ
薬師沢から黒部川へと、静かな流れを守るかのような深い森
その黒部の森が小雨に煙る姿は、なぜだか胸が締め付けられるような
そんな切ない気持ちにさせてしまう

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