夜叉神出発は06時、空気は凛と冷たく、足元も雪は無い
出足からすぐに汗をかきアウター、ベストを次々に脱ぎ
峠までにはベース一枚になっていた
夜叉神峠まで50分、一息ついてゆっくり撮影しようか
そう思っていたが追いついて来た後続グループがやたらとハイで
その賑やかさに、さっと場所を譲って先を急いだ
峠から先、ちょうど一年前に歩いたときは雪解け水が凍結状態だったけど
今日は氷じゃなくて雪が残っていそうだ、チェーンスパイクを着けて進む
昨年と同じくアイゼンは持たずに来たのだが、これが後々後悔することになる
トレイルは完全な雪道、この先の長い行程が思いやられる
去年下山の際に富士山を撮影した場所からは、やや曇った富士山
帰りに見れば良いか、とスルーしたが結局この日富士山は雲で拝めなかった
杖立峠を過ぎる頃から積雪はさらに深まる
北岳が鈍く輝き始める
苺平、去年はここから辻山までだった
昨秋に千頭星山に登った時、この稜線が繋がってるとは知らなかったが
ちゃんと道標にも記されてることに気付いた、さすがにトレースは無い
苺平から南御室小屋まで、地図で見るよりも長く感じられたのは
景色に変化のない樹林帯のせいだろうか
ひと休みしたいが、先を進む、ここからが登りだ
次の薬師小屋まであと300mの登り、これが結構な勾配で、しかも雪が緩み始め
スパイクではグリップ出来ず、ずるずると滑って進まない
焦れば焦るほど足元は滑り、全身が汗でぐっしょり、体力はもう尽きそう
やっとの思いで樹林を抜けると、いつの間にか北岳が近付いていた
ピーク方向を睨む
手前が砂払だろう、その奥が薬師か?そんなに遠いのか?
(*砂払の奥は観音岳、薬師は隠れていた)
その距離感になんだか急にエンジン停止状態
岩にもたれかかって小休止
岩にもたれかかり、うとうとしている自分の上を大きな影が横切って行く
その大きな影はやがて間ノ岳へと流れて行く
そんなシーンをぼーっと見守る
あぁ疲れたよ、最後の登りは堪えたよ、もうここで良くないか?
7、8分ほどだったろうか
気を失うように眠っていたようで、寒さに震えて目が覚める
このわずかな睡眠が身体に体力を戻らせてくれたような気がする
ここまで来てピーク踏まずに帰れるものか
風で雪が飛ばされた砂払岳を踏む
そして何と言っても第二の標高、北岳の存在感
南アルプスは深い
砂払から回り込むように薬師小屋へと下ると、もうピークは目の前だ
夜叉神から5時間50分
やっとの思いで薬師のピークを踏む
そこに居合わせた若いソロのお兄さんにシャッターをお願いすると
えぇ?ここじゃないでしょ、次で撮り合いましょうよ観音岳で
往復2時間ですよ、17時過ぎには下山できますよ
そう言い残し先に行く彼を見送った
あのさぁ若者よ、このへろへろな姿見てから言ってよ
そんな誘いに乗ってのこのこ付いてったら下山できなくなるよ
と、独り言ちながら観音峰を睨む
この稜線上の最高峰だ
往復2時間?
いやいやいや、ムリムリムリ
池山吊尾根、大唐松山、大門沢などちゃんと見て
次の南アルプス縦走へモチベーション上げておくように
ピークから大阪の山の師匠へスマホで画像を送ると、そんな返信を受ける
南アルプス縦走ですか?あーっ宿題貰っちゃったよ師匠に
風を避けて、今日はじめて腰を降ろし弁当タイム
絶景を前に贅沢なひととき
休憩を終えるとガスに覆われ始めた間ノ岳を眺めながら
もう腐ってしまった雪の斜面をずるずる滑りまくり
なんでアイゼン持って来なかったかなぁ、なんて自分に怒りながらも
雄大な南アルプス大展望に満足しながらの下山となった
深夜2時に起きておにぎり握ってお弁当詰めて高速飛ばして
6時からほぼノンストップで高低差1700m登って17時下山
こんなにヘロヘロになってても、この気力さえあれば、まだ行けるさ
うん、まだまだ行けるさ
そんな独り言をつぶやきながら大渋滞の中央道へ帰路を急いだ



























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