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裏銀座逍遥 雲ノ平

■山行日:2025年09月26日
■山:北アルプス裏銀座山域
■目的:裏銀座逍遥
■ルート:高天原山荘(06:00)-アルプス庭園-祖母岳ー水晶小屋(15:30)
朝食の時間、小屋は沈鬱なムード
そりゃそうだろう、誰もがみんな一日中雨の中を歩いてここまで来たのだ
なのに、翌日も朝から雨だなんて、、、

昨晩、食堂で一緒にウイスキーを飲んだ、元同じ業界人の先輩に
水晶池ルートを誘われたが、さすがに同じルートはその気になれず
高天原峠から雲ノ平へ向かうことに
先輩には、あのルートは雨の中、登るところじゃないよ、そう真顔で止められた
知ってますよ先輩、確かに峠からの登りは雨に滑るハシゴや、ぬかるみの急登が嫌になる

でも雨は上がるのだ、絶対に
ガンガンに燃えるストーブでやっと乾いた山靴が、雨とぬかるみでグズグズ
ようやく「雲ノ平の森の道」まで詰め上げると、空が明るくなり、鳥の鳴き声が聞こえる
そう、鳥は夜明けと、雨が上がる時を知っているのだ、もうすぐだぞ

と、それは突然やって来た
一気に黒い空が割れ、青い光が射す
その眩しさは、目をくらませて、くらくらするほど

あまりの嬉しさに、笑いがこみあげて来る
何を急ぐ必要があるのか、早くいかなければ、景色が無くなってしまう
とばかりに、急ぎ足でいつものアルプス庭園に向かう
槍の穂先、穂高の連なり、黒部五郎岳の大きな山体
黒く光る水晶岳、たおやかな薬師岳

庭園からの風景
もう何度見ただろうか
それでも、それでも胸を打たれる風景
あまりの美しさに、呆然と立ち尽くすだけ
魂の抜けた状態から、我に返る
さぁ、帰ろうか
昨日一日中、雨に打たれたことなんて、この奇跡の1時間で帳消しだ

アルプス庭園を後にして木道へ戻ったところ、ちょうど登って来た若い男女に尋ねる
「この時間に来られたってことは薬師沢小屋からですよね?」
単独で、小柄で、ピンクのレインスーツの、と安曇野のお母さんについて尋ねると
女性の方が「そんな感じの、お一人の女性の方、いましたよ」
テン場をスルーすると、14年ぶりになるスイス庭園

青い空
白い雲
遠い山の影

小さな水鏡のひとつひとつに秋の空が映り
湿原は無数の光を散りばめたように、一面がきらきらと輝いている
今朝までいた、北アルプス最奥部、高天原を望む
昨日とは一変して秋空に光る水晶池
晴れの水晶池を見たいと、そう言っていた元同じ業界の先輩は
今あそこにいるだろうか

昨日の雨の逍遥を思い返していると、遠くからヘリの音が近付いて来た
祖父岳に向かう木道の脇
雲ノ平で初めて出会った雷鳥としばし見つめあう

秋の光は、雷鳥の姿さえ美しく輝かせている
昨日の雨煙に何も見えなかった祖父岳
水晶から赤牛への稜線も美しく、槍も近付いてきた
岩苔乗越まで戻ると、あとはなだらかに登るだけ
そうやって水晶小屋へたどり着くと
早くも山旅の終わりが近付いたことに寂しさを覚え

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