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裏銀座逍遥 野口五郎岳

■山行日:2025年09月23日ー26日
■山:北アルプス裏銀座山域
■目的:裏銀座逍遥
■ルート:高瀬ダム(06:15)-烏帽子小屋ー野口五郎小屋(14:15)-

2025年9月末、人よりも遅れた夏休み
今年はいつものように奥黒部を楽しむのに、ゆったりと時間をとることにした
しかし、こんな時期の平日であっても山小屋予約の取り合いは厳しい状況にあり
小屋閉めの黒口部五郎小屋だけ取れなくて、焦りに焦ったが、ウェブ上の満室表示は
見なかったことにして、直接電話を入れると「ちょっと待ってくださいね、、、」
その言葉の後、何やら電話の向こうで相談している様子、そして漏れ伝わる小声の会話
「じゃ、その人で〆にしようか」
どうにか山小屋争奪戦は勝ち抜いたものの、次なる難関が待ち受ける
ここだけは、いつも悩ましい、ブナ立尾根登山口手前の濁沢渡渉だ
今回も数日前に大雨で丸太橋が流され、仮復旧した日に再び雨で流されて
当日現地で確認しなければ、どうなっていることやら
(野口五郎小屋Facebookで状況は発信されていた)

先行き不安な状況のままタクシーを降りてダムサイトを歩いていると、前方からやって来た
4駆のピックアップのドライバーが大声で「丸太2本しかないけど、取り合えず歩けるよ」
そう言い残して去って行った、きっと整備をされている方だろう
しかし
ほんとに丸太2本っきり、これ渡るのか、、、
このルートは何度目になるだろうか
三大急登とか、キツいだけとか、ネガティブな評価が多いルート
でも、自分としては好きなルート
なぜなら、この先に待っている素晴らしい風景、そして稜線歩き
今日はどんな顔を見せてくれるのだろうかと、わくわくしながら
このブナ立尾根を、一歩一歩登るひと時が好きなのだ
丸太橋を渡った登山口から4時間20分で空が広がる
いつものように烏帽子小屋のベンチに座り、赤牛の姿に笑みがこぼれる

あぁ、また来れたよ
ニセ烏帽子と烏帽子岳、その向こう
薄曇りの天気にしては、近くに見える立山の姿を後にする
ブナ立尾根の急登後に控える、三つ岩への登り

自分的には、ここがいちばんキツい
しかも素晴らしき展望はガスの向こう、モチベも下がりペースダウン
ガスの中から青い屋根が見えると、ほっとする
本当に、この稜線上にぽつんと佇む、野口五郎小屋の存在はありがたい
黒部五郎小屋は二度目の宿泊、あれはもう9年も前になるのか?
カレーを食べた記憶はない、ってことは自炊だったかも
小さな小屋、小さなダイニングに集まって、登山者たちがカレーを食べるって
なんだか、懐かしき風景っぽくもあり
そして夜が明け
新しい北アルプスの一日が始まった
東の空が、ほんのりと明るくなる

小屋の前で、いつ歩き出そうかと、すでに稜線を歩き始めている先行グループを眺める
彼らに一歩遅れて歩き出すのには理由がある
ただ、ただ、この光輝く朝の風景の中を、ひとりで歩きたかったからだ
雲海はゆっくりとほどけるように広がり、その果てまで白い海が続いている
その上に浮かぶ山々は、朝の薄明かりを受けながら、ひとつ、またひとつと姿を現していく
山々の輪郭だけが、遠い闇の中から浮かび始め
足もとの草には初秋の色が忍び寄り、赤や黄に染まりはじめ
新たな朝を迎える喜びに満ちているようだ

水晶岳に自分が立っている野口五郎岳の影が映る
この山の雄大さが実感できるシーン

今日の裏銀座の稜線は奇跡的な美しさ
永遠の朝だ

朝イチ出発組にいたはずのソロ女性が、ぽつんとひとりピークに立っていた

何だか去りがたいですよね
えぇ、私も。今日一日いても良いかな

静かな山頂での会話はそれっきり、しばし静寂の風景を楽しむと
挨拶もなく彼女を残して、そっと山頂を後にする

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