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祈りの道ふたたび 大峯奥駈道・プロローグ



毎年悩ましいGWの山旅プラン
昨年は北アルプスで残雪のピークを踏んだ、そして今年は
もう一つの残雪ピークを狙っていたのだが、どうやら雪の状態が安定していない
それに天気も今一つはっきりしないので北アルプスは断念
となると、もう気持ちは決まっていた、関東暮らしながら毎年のように還る山
紀伊半島の聖地である大峯奥駈道だ

あの祈りの道をもう一度歩こう、13年前と同じように歩こう

早朝6時、奈良県は下北山村前鬼口へ駐車しての仮眠から目覚める
今回はここをゴールとした大峯奥駈道(北部)縦走のプランだ
起点は十数年ぶりとなる山上ヶ岳、そこまではバスでの移動となる
そのバスは日にたったの二便、その始発となる7時31分発まで早朝の散歩だ
バス停は池原ダムの畔にある、このダムはまだ登山なんて1ミリも興味の無かった頃
ブラックバスを追いかけて年に1、2度訪れていた懐かしの地
もう20年以上昔のこと、あの頃は若かったなと遠い目をする
懐かしみながらの散策も終えてバス停のベンチに座っていると林道から人の気配
それは自分よりも少し先輩と思える登山者だった、彼は奥駈道縦走中だったが
二日続けての大雨に身も心も疲れ果てて、昨夜釈迦ヶ岳からエスケープしたそうだ
偶然にも横浜からの遠征と言う彼に自分は奥駈道縦走経験者だと話すと
あれこれ質問攻めにあうが悪い気はしない
その彼がぽつんとこぼした言葉が印象的だった
今年こそは熊野まで歩きとおしたかった
どうしても、よみがえりの地を踏みたかった
よみがえりの地?
苦難を乗り超えて熊野に辿り着いたものは、神から再び生きる力を与えられる
その意味でのよみがえりなのだろうか?
時間通りにやって来たバスには外国人ハイカー二名が乗っているだけ
何度通ったかわからない国道169号も、こうして初めてバスの車窓から眺めると新鮮だ
横浜の男性はすぐに眠り、よみがえりの真意は聞けぬまま
2時間以上の行程を走るバスは、川上村道の駅で15分の休憩を取る
外国人ハイカーたちは何故バスが止まっているのか分からなく不安そうなので
15 minute rest time だと伝えトイレの場所を案内してあげる
少し居眠りしてる間に2時間の移動も終わり上市駅で下車すると
先ほどの外国人ハイカー二人が笑顔で手を振って何か言ってる
Buen camino!
うーんん?なんだ?良く分らないまま手を振り返してる間にバスは去ってしまった
上市駅からはコミュニティバスに乗り換えて下市口駅まで移動し
洞川温泉行きのバスに乗り換えて、、、なんと長い旅だこと
その洞川温泉行きの車中でさきほどの外国人ハイカーの言葉を思い出していた
最近見た映画で聞いたことがあるはずだ、なんだったけ?
そうだ!
Buen camino ブエン・カミーノ 「良き巡礼を!」だ


と言うことは彼らも奥駈道を目指しているってことだろう
バックパッカースタイルであのバスに乗っている時点でそれはそうだろうけど
彼らはどこで下車して、どのルートを歩くのだろうか?もしくはもう下山した?
遥か海外から奥駈道を「巡礼」したであろう彼らの足取りに想いを馳せる

あぁ自分もさりげなく応じたかったよ
Buen camino ブエン・カミーノ!




洞川温泉街では明日五月二日の大峰山開きを目前に
全国から集まる修験者たちを迎え入れる準備に慌ただしく
通りを行き交う地元の方たちの表情は嬉しそうだ
そりゃそうだろう、3年ぶりの大盛況になることは間違いないもの




懐かしき母公堂、由緒あるお堂に流れる水を汲んで飲むとなんと冷たいこと
それは自分が今こうして大峰に還ったことを実感させてくれる冷たさだった


母公堂からとぼとぼと歩くと、いつしかそれは目の前に立っていた
大峰の本山への入り口である「女人結界門」だ
前鬼口を発って5時間って!?
ようやく登山口へと辿り着いた時には軽く疲れている自分がいた
さぁ奥駈道だ

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