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星降る雪原 五月の尾瀬(後)

■山行日:2017年04月29日-5月01日
■山:尾瀬ヶ原:燧ヶ岳
■目的:遥かな尾瀬
■ルート:鳩待峠(09:00)-見晴(12:40)
     見晴(07:30)-燧ヶ岳(12:00)-見晴(14:30)
     見晴(07:30)-尾瀬沼(10:00)-大清水(14:30)
 
■トレースが無い!

翌朝はいよいよメインとなる燧ヶ岳だ、尾瀬は目が眩むほどの青空なのに
自分の心は重い、その理由はピッケルを車に忘れたことだ、まだまだ
雪をたっぷりと蓄えた峰を歩くのに、なんてバカヤローだ。
 

見晴から燧ヶ岳へ、樹林の中を歩いてて気付いた、トレースが無いのだ
確かに、どの小屋も昨日からの営業、まだ見晴から燧ヶ岳へ歩いた人は
極めて少ないだろう。テープも何もかもが雪に埋もれ、ルートが不明
尾瀬沼との分岐すら分からないまま、地図を頼りに北へと進む

やっとクロカンスキーの跡を見つけるが、そんなものアテにはならない
沢のギリギリ、どんどんキツくなる勾配の樹林をひたすら登り詰める
と、2時間もたって、ようやくテープが出始める、振り返ると
尾瀬ヶ原が美しく輝いている。

やっと2200のコルに辿りついた頃には、見晴から3.5時間もかかっていた
コルから見上げると、二人の影が、岩の上と下とで膠着している
なるほど、きっと岩を巻く所が雪か氷で苦戦しているんだろう

■残雪の燧ヶ岳に立つ

ピッケルが無いことは頭から消して、先ずはコルからとりつくが
すぐにトレースが消えた、どうやらハイマツ帯を巻くようだ
何度かハイマツの世話になりながら、雪庇を避けては詰めて行く
暑さで頭が朦朧とする中、どうにか登頂したのは12時

風は冷たく、陽射しにやられて疲れきった全身を一気にクールダウン
しかし、予想の倍ほども時間を要したため、空は既に午後の霞が浮いて
想っていた大展望は叶わなかった

本峰である、この柴安ぐらから、俎ぐらへのトレイルは、見下ろす限り
まるで垂直に落ち込む雪の壁、こんなところピッケルあっても
自分ひとりでは下れないだろう、とあっさり沼へ降るプランは断念だ


 
コルまで苦労して降りきると、赤ナグレ沢へと降るトレースを見つける
そうか、残雪期は、この沢を歩くほうが楽なんだ、いくら小屋空け直後でも
これほどまでトレースが見えない理由がやっと分かると、その沢を下った

■石楠花色にたそがれる

トレースの無い樹林をひとり登り詰めた疲労と、今年初めての暑さで
見晴に戻った頃は、もう足元がフラついていた。今日は桧枝岐小屋としよう
玄関に入ると「燧ヶ岳はどうだった?」ひげくまさんから声をかけられるが
会話する力も無く、力なく首を振るだけの情けないていたらく

それでも風呂を浴びると元気なり、夕食後はカメラを持って外へ出た
昨日よりも美しい尾瀬ヶ原の夕景は、ふらふらになるまで歩き通した
まるで自分へのご褒美のようで、その美しさに染まるまで眺めていた。

石楠花色に たそがれる
遥かな尾瀬 遠い空

■凍て付く尾瀬沼

翌朝は予報通り雨、本当であれば尾瀬沼から大清水の日程だったが
こうなった以上仕方ない、雨の中とぼとぼ鳩待峠まで戻ろう

9名の宿泊者の半分ほどが出払った後、支度を終えると外へ出た
すると小雨が上がり、空が少し明るい・・・同じタイミングで玄関に立った
ひげくまさんと目が合う「悩ましいなぁ、鳩待へ戻るか沼へ行くか、ん?」
その笑顔はなんだか「沼へ行けよ」と言ってくれてるようで方向転換
「せめて沼まで晴れるように祈っててください」笑顔で応じるひげくまさん

しかし、やはり予報通り、空は少しずつ黒くなり、小雨が降ったりやんだり
カメラもザックに収め、ただ黙々と歩く。ふっと気付くと沼尻だ
なんだ?真っ白じゃないか、凍ってるんだ!まだ沼は凍っている
その不思議な眺めに吸い込まれるように、湖畔の氷上トレースを追う
こんなことが出来るのも今日まで、きっともう数日で雪は消え
あの美しい沼へと戻るだろう

結局は大清水平までずっと雨、風、雨、そして風
全身がびっしょりの濡れ鼠で、ときおり意味も無く
「あぁーぁ、ひげくまのオヤジめ」なんて悪態をつきながら笑った

残雪の燧ヶ岳を踏めた達成感よりも
凍った沼を歩いたことよりも
星降る雪原の美しさ、そして静寂が心に残った山旅

今も想う
遥かな尾瀬 遠い空

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コメント

コメント一覧 (8件)

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    星降る湿原素敵ですね。
    石楠花色にたそがれる空高く
    細い月が昇っているのにもほれぼれします。

    ずいぶん昔、残雪期の燧の下りで道を失い
    思いがけないほど高い場所に赤テープを見つけて
    ほっとしたことがあったのを思い出しました。
    いいなぁ尾瀬、
    夏になる前にまた行ってみようかなぁ。 0

  • SECRET: 0
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    話には聞いていたけど凄い雪!
    でも、一ヶ月で驚くほど融けてしまってましたよ。
    無い物ねだりって言うのか、も少し雪が残っていてその雪の間から水芭蕉が顔を覗かせて・・
    でもって、赤シボなんかももしかして所によっては見られたりして・・
    なんて思ってたんだけどね~
    え?欲どぉしいですか?《;~Д~》

    にしても、雪原に降り注ぐ星空!!素晴らしいーー!!
    私もこんな星空観たかった!!
    いや、観たことは観たんですよ・・夜中、窓からチラリと(T-T)

    あ~あ、今回も垂涎モノの尾瀬レポでした。
    また、行かなあかんな~・・ 0

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    どこの斜面で泣いていたのかずっと気になっていました(≧∀≦)
    そんな事情があったのですね〜!!
    私は今回初めてひげくまさんにお会いしたのですが、なかなか独特な雰囲気のいい味出してる小屋番さんでしたね。朝一番にカレー注文したら、もう食べるの!?って…(^^;)
    そして星空…あんなに素晴らしい星空を観ていたとはっ☆羨ましい!!尾瀬には何回も行ってるのにあんな素晴らしい星空は観た事がありません。 0

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    palletさん
    よくぞ、あの細いお月様気付かれましたねー
    おかげさまで、美しい雪原の夕景に溶け込めました^^
    燧の赤テープ、コル直下辺りは見つかりましたが
    それより下は完全に埋まってました、それほど
    雪が多かったってことですね
    palletさん、東欧の次は尾瀬だなんて~贅沢ですよ^^; 0

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    ルネさん
    なんですか~?あれほどの水芭蕉を観てても
    まだ雪が欲しいとか?欲どぉしいにも程がありますって^^;
    えー!星空は小屋から覗いただけなんですか?
    はぁ~ん、さては飲み過ぎて?
    んもう、星より団子なんだからん^^ 0

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    まつおの母さん
    そうだったのです
    トレースは無いわ、ピッケルは無いわ(涙)
    沼に映る逆さ燧は無いわ、もう泣けてくるばかり^^;
    ひげくまさん、私も初めてだったのですが、なんだか
    昔からの知り合い?近い親戚のおっちゃん?みたいな
    人懐っこさが良いカンジでしたよね^^ 0

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    お久しぶりでございます。

    むっちゃ 「接近遭遇」ですやん!?
    すぅ~さんに遅れること4日・・・・ 同じく至仏を諦めて燧ヶ岳に行きました。

    私の場合、柴安嵓のピークすら踏めなかったので、羨ましい限りです。

    すぅ~さんは ピッケル忘れ (-_-;)
    私は テントのポール 忘れです

    お互い ダメダメでんなぁ~

    また どっか お誘いくらさい m(__)m 0

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    ピッケルさん
    これまた、お久しぶりです^^
    そでしたか、尾瀬に行かれてたのですね
    燧ケ岳踏めなかったのは残念ですが
    テントポール忘れって!いつぞやシュラフ
    忘れた私が言うのもアレですが、ボケが
    進行してませんかい^^;
    たまには関西の山で一杯やりましょうよ!

    0

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