
しかし1シーズンに三度も通うことになるとは、我ながら好きになったもんだよ雲取
なんてことを思いながら既に8割ほど埋まった駐車場から歩き出したのは5時45分
空模様はどんより曇天、誰だよ晴れるって言ったの、これで雪も無けりゃどうするよ
ガッスガスの中をクサりながら黙々と進むこと90分、堂所を過ぎた辺りで
トレイルを射す光に空を見上げると、そこだけ青空
来た、来たよ青空
その青空は気まぐれで、七ツ石小屋までは雲に隠れたり現れたり
すっきりしない状態も小屋を過ぎて足元が完全に積雪となる頃から
予報通り、これぞ青空となり雪景色へと逸る心を抑えながらも狼さまに挨拶
今日は曇ったガラスにも陽の光が射し、その小さなお顔も拝むことが出来た
しんっと静まり返った七ツ石山頂に立つ
残念ながら富士山だけは雲の中
いやそのうち現れるさ、この青空だもの
もしかすると1シーズンに三度も通ったのは、本峰ではなく
この七ツ石山が好きだからかもしれないな
ほんの小さな山で、雲取の陰に隠れていながらもこの展望
うん、やっぱりここが好きだな
ブナ坂を下りながら雲取のピークを見上げると
分かってはいるけれど、ついつい独り言「遠いな」
そりゃここからでも距離にして4キロ、標高約300mだもの
と、具体的な数字が頭に浮かぶとさらに遠くなったり

南アルプスは霞の彼方でも
この時期にこれだけ見られたら大満足だ
農鳥、間ノ岳、北岳、仙丈ヶ岳に甲斐駒までフルラインナップ
手前の飛龍山が白く雪化粧されている姿も良いな
予報通り降雪明けの青天に心躍りながら坂を下る
石尾根は想像よりも雪があり、ところによっては踝オーバー
まだ誰も踏んでいない真白なルートを選んでは雪を踏む
ヘリポートはまるで雪原
その雪原から見上げる飛龍の稜線を眺めては何度も脚が止まる
雪原の真ん中でぼーっと稜線を眺める横をトレランの女性が走り過ぎる
今日も多くの入山者がいるはずのに何故だろう
こんなにも静けさに包まれている
いつものように小雲取までの急坂で大汗をかき一休み
そしていつものように振り返るが、富士山はまだ雲の中
残念ながら今日は富士山は拝めなさそうだ
カラマツに残る雪はだんだんと少なくなる代わりに
足元の雪は深くなってゆく
さぁ最後の登りだ
徐々に足元の雪が重くなってきた頃、喧騒が響き始めたらもう避難小屋
時計を見ると今日も4時間ちょうど、いつもの自分のペースだ
七ツ石山頂に比べるとずいぶん雲が湧いてきているが
真白な雪と青空と流れてはちぎれる雲
最高な景色じゃないか
奥秩父の山並が果てなく続く空の下
大きな三角形は見覚えがある、秋に歩いた雁坂嶺から見た北奥千丈岳だ
となると、その右手にひときわ白く立つのは甲武信ヶ岳だろうか
汗冷えの全身を乾かしてくれるかのような陽射しに包まれて
眩い雪景色を飽きることなく眺めていた
充分に展望を楽しむとさぁ下山だ
と、南方の石尾根を見下ろす
あぁこんな風に見えるんだ
これが見たかった雲取の、石尾根の雪景色じゃないか
見下ろす石尾根を歩くハイカーの姿は
まるで精巧に造られた雪山のジオラマを歩くミニチュアのようだ
そうだったのか
昨年末にネットで見て歩きたくなった絵は見下ろした風景だったんだ
七ツ石から石尾根を歩きながら、どこか腑に落ちない?気がしていた
見たかった景色とどこか違う気がしていたのだ
その謎が解けたことと、さらにその美しさに惹かれ
なんだか嬉しくなるような下山となった
そんな浮かれた気分を塗りつぶすかのように
奥多摩小屋を過ぎた頃から急に黒い雲が広がりはじめ
あれだけ暑かった山頂がウソのように全身が震える寒さ
そしてブナ坂まで下ると、なんと小雪が舞い始めることに
最後の雪が降った翌日の、光り輝く雲取を歩くつもりが
下山路でも雪が降るだなんて
「東京で見る雪はこれで最後ね」と寂しそうに君がつぶやく
何故だかその雪に寂しくなり
寒さに震えながら七つ石の巻き道をとぼとぼと下山した
三月の最後の深雪晴れの日に































コメント
コメント一覧 (2件)
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スロさんこんばんは
雲取山から見る雪景色の石尾根のなんと美しいこと。
こんな日に歩けたとはなんと羨ましい。
いや実は私も七ツ石大好きでして。
あそこのテン場でマッタリ。贅沢な時間たのしんでます。
来年もありますよね?
なごり雪が気になります
ところで味噌はいかがでしたか? 0
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akt39さん
ありがとうございます
これぞ見たかった石尾根の雪景色でした
虎視眈々と狙ってた甲斐があった雲取となりました。
七ツ石良いですよね、私の山仲間からもこのエリアでのテン泊は
静かでまったり過ごせて最高だと聞かされてます、いつの日か!
あ!ラーメン美味かった!このお店のお出汁って結構独特だと思います
トリガラだけじゃ無い、ちょっと獣臭っぽいところ?そこが私的には
ドストライクでして、三度目にしてもうクセになってます
雲取でもなく七ツ石でもなく、真の目的はこの中華そばかも (^^; 0