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ほろ苦い登山になったよ 鬼怒沼山

  
  

■山行日:2019年08月03日(土)
■山:鬼怒沼山
■目的:高層湿原
■ルート:夫婦渕(08:00)ー鬼怒沼湿原(12:00)-夫婦渕(15:30)

ずっと続いた梅雨も明けたけれど
週末の青空と、日程の相性は悪く、山から離れていた

その週末も荒れ模様だったけれど、どうにか持ち直しそうな気配
じゃ、どこ行こう?尾瀬も久しぶりに行きたいけど
きっと人出が多く、ストレスだろう

そうだ
久しぶりに鬼怒沼はどうだ

もう花は咲いていないだろうけど、あの湿原に浮かぶ
空と雲を眺めながら、まったり過ごそう


 
 
2012年初夏
初めて歩いた日から、なんと7年ぶりだ
 
2015年冬にも歩いたけれど、日光澤温泉までだった
 

 

 

あの夏の日
初めての単身赴任、慣れない仕事でトラブル続き
やっと取れた一か月ぶりの休みに、ひとり歩いた夏の日
  
心もカラダも疲れ切っていた
そのすべてを癒してくれたあの風景
  
  

 
 
時の流れの速さを噛みしめながら歩く
 

そんなハイカーのことなんて知らぬ顔
沢沿いの森は変わらず、深緑を滴らせている
 
 

  
  

梅雨明けとは言いながら、なんと湿度の高いことだ
この辺りすでに標高は1000以上の沢沿いなのに汗がとまらない
  
  

  
  
ときおり沢に入り、竿を投げている人がいる
こんな静かな沢で、青空の下、釣りができるだなんて
汗だくになって歩いてるハイカーよりも幸せそうじゃないか
  
  

  
  

八丁の湯の手前当たり
この森はまるで上高地を思い出させるほど美しく
そういえば標高は1400、まさに上高地と同じだ
  
 
温泉の前では、アジア系外国人ファミリーが楽しそうにしている
こんな遠くの秘湯にまで来るんだ・・・
もはや日本は海外ツーリストに、その隅々まで知り尽くされているんだ
 
 

  
  
ひと山越えたかのような汗をかいて日光澤へ到着
 
なんだ?わらびと、チャングは休憩中だって?
そうか、今日はサンボだけなんだ
  
  

  
2015年冬
その日も、いろいろあって疲れ切っていたけれど
この日光澤の看板犬の三頭が癒してくれたのだ

その時いちばん懐いてくれた、たれ耳のサンボ
    
なんだか疲れてそうなサンボ
暑そうだなサンボ
オレなんて見てよこの汗、もうシャツ着替えないと歩けないよ
お互い、この数年の夏はたいへんだよな
  
  

  
  
ところでさ
お前たちのデザインされたTシャツは売れてるかい?

久しぶりに会う、たれ耳のサンボと、ひとしきり会話
その姿に癒されて、一息つくと、楽園へ
  
  

  
  
ノシ滝、ヒナタオソロシの滝、懐かしい名前に
ふたたび、あの夏の日を思い出す
こんなに暑くなかったよ、あの日は
  
  

  
  
あまりの暑さにダウンされた2グループをスルー
自分も相当ヤバいな、と15分に一度休憩
水分と塩分を交互に口に入れ、120分

さぁ楽園へ
  
  

  
  

ところが、その楽園へたどり着く数分前から空は暗くなり
遠くで雷の唸りが響いていた
  
そして冷たい冷たい風が吹き荒れ始めた  
  

  
 

その荒れ始めた楽園へと歩き始めたその時、大粒の雨が落ち始め
あっという間に、木道は洪水状態
 
こりゃどうしようもないな
慌ててレインスーツを着込んでも、汗冷えの上に
雨のシャワーを浴びたカラダは、寒さでガタガタ震えが止まらない
  
  

  
  

森の中へと引き返し、数分様子を見るが、遠くの雷は
どんどん近付いて来る気配、そして雨はますます強くなる
あきらめて下山しはじめて10分ほどだったか、そこに目を疑うような光景が・・・
  
登山道脇の木の下で、家族三人、みなさん半袖Tシャツにスニーカー
ほぼ手ぶら状態で、中でも中学生くらいの娘さんは
雷の恐怖と、雨に打たれた寒さで、白い顔をして震えている
2000mの山で、冷たい風と雨に打たれたら大人でも震えるさ
 
たいへんですね、傘とか何も無いんですか?
   
問いかけへの返事は、意味不明な外国語
中国語だろうか、いやなんとなく台湾っぽいか

何か渡せるものは無いか?タオルはもう使ってるし
今日はハイク用の傘も持っていない
いや、何もしてあげることは無い・・・
コミュニケーションもとれず、お互い顔を見合わせるだけ
   


  

  

雨はすぐ止みます、木の下で雷が止むまで待ってて下さい

若き父は、苦笑いのような顔で力なく頷くだけだった

その父親の表情と、青白い顔をした少女の震える姿が
下山の間、ずっと頭から離れずにいた
 
50分も降り続いた雨は、トレイルを洪水にし、やっと小康状態
でも、あのスニーカーじゃ、ここを降るには苦労するだろうな
お父さん、無理して雷の中歩いてはいないだろうか
  
徐々に雷が遠くへ離れて行く様子を伺い
ファミリーの事を思いながら雨上がりの日光澤温泉へ戻った
 
 

  
  

サンボ、たいへんだったよ
お前も雷落ちるの聞いたろ?雨も酷かったよな?
あのファミリーどうしただろう、女の子大丈夫かなぁ
でもさぁ、何もできなかったよ、何も
 

サンボに報告しながらレインスーツを着替え
汗と雨に濡れたものを整理していると
 

あ!
 
あぁどうしよう、なんてバカなことを

  
  

  
  

あったんだ、いつもザックの底に入れているシートがあったんだ
四隅のハトメにはショックコードまで施してあるグランドシート
こんな時のために、常備してるモノだ
これがあれば三人くらい、一晩でも雨を凌げたんだ
  
あぁサンボ
オレはなんてバカなことを
ごめんよサンボ

  
 

  
  
 
夫婦渕までの林道も、帰りの車中も、ずっとずっと
あの恐怖と寒さに震える少女の顔が忘れられず
帰宅後も、遭難のニュースはないかと何度もチェックして
そのたびに後悔した、何ともほろ苦いハイクとなった

 
 

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コメント

コメント一覧 (6件)

  • SECRET: 0
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    >帰宅後も、遭難のニュースはないかと何度もチェックして
    こころ優しいスロさん。
    ニュースがなかったところを見ると無事だったんですね。
    そうは言っても、
    こういうことっていつまでも気に病んでしまうのよくわかります。
    でも、そのご家族は、
    何か言って心配してくれている人がいてきっと心強く思ったはずと思います。
    次の機会にはぬかりなく、ですね(^^。 0

  • SECRET: 0
    PASS:
    あぁ、わかります、それ。
    別れた後もずっと気になって、ネットニュースとかぐぐっちゃう。
    何事もなかったようで良かったですね。
    私たちも今回三国小屋で、体調不良になって三国小屋でストップしてしまったワンゲル部の女の子がいたんです。
    アルファ米が喉を通らないらしく、小屋の前のベンチでコッヘル握りしめたまま辛そうな顔してた、か細い女子。
    喉を通りやすいものを、と、ダンナが持っていたお餅を焼いて食べさせたり、残っていたぶどうとか食べさせたりしました。
    結局、一晩経ってもダメみたいでした。翌朝一緒に下山を、とも思ったのですが、もし見ず知らずの私たちと行動して怪我でもさせてしまったら親御さんに・・・とか。
    なかなか難しいですよね。

    サンボもスロさんの心配事を見ぬいて寄り添ってくれたのではないですか?

    0

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    palletさん

    いえいえ、ほんと情けないことで・・・
    まぁきっと、無事だったろうから、ね。
    しかし、 わざわざ自分でショックコード施してまで
    常備してるのに、いざって時にこれでしょ?
    なんだかなぁ、って大反省でした
    (´・ω・`)
    0

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    cyu2さん
    あらー、、、
    そんなことがあったのですねー
    確かに、状況にもよりますが、他人が手を出せる
    範囲って、結構難しいですよね、特に今の時代は。
    なんだか面倒な時代ですね・・・
    サンボの顔は、確かにそんな表情でした
    (´・ω・`) 0

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    行ってきましたよ 40年も行こか戻ろか悩んだ お取り置きのお山に。。。
    これでほぼ 帝釈山脈系は登れたかと思います。 0

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    tabilogue2さん

    記録拝見しました
    40年にもわたり、お取り置きされてた甲斐があった?
    ようすが伺えて、なんだか私も喜ばしく思えました
    「奥鬼怒縦走プラン」惹かれますね~ 0

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