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今日の旅ごはん 大阪居酒屋劇場



コロナ渦では出張は原則ナシ
リモートワークをベースとされている中
止むを得ずの出張先は今年初の関西だった

寒風吹きすさぶ京都・大阪を移動して
久し振りに会う部員たちと夜の一献も無く
ひとり寂しく大阪の街を歩き、ふらっと呑み屋の暖簾をくぐる

まだ夕方5時、お店の中は先客2名だけ
「十日戎を前に福娘がABCテレビを訪問」
そんな懐かしい関西ローカル局のゆるい放送を眺めながら
先ずはビールとねぎまをオーダー
少し塩が振り過ぎな気もするねぎまでビールが進む
そこへ、ひと席空けて座った自分と同年代っぽい夫婦
奥さんのこてこてな大阪弁と、ご主人のドスの効いた声
なんだかちょっとした新喜劇コント風な匂い
いきなりコップ酒を二杯空ける隣のご主人
早くも舌がもつれぎみ、それを派手な化粧を塗った奥さんが
(そう!いかにも大阪のオバちゃん風なカンジ)
かいがいしく面倒を見てる
あぁアカン、これきっと何かやらかすぞ、そんな匂いがぷんぷん
あのな兄ちゃんオレな、こんななりしてこいつに喰わせてもろてるねん
あんたぁ~、こんなところで止めときぃや~恥ずかしい
何がやねん、オレはななーんも恥ずかしぃないで、ほんまのことや
ほらほら始まったよコント
なんだよ「こんななり」って(苦笑)
ふたり仲良く一つのお好み焼きをわけわけしながら良いカンジ
オレだってな、もうちっと身体が動いたらバリバリ稼げるねん、ほんまやで
あんたぁ~しゃあないやん今は休む時やねんって、な?
そない言いながら腹の中では、ごくつぶしって思うてるやろ?な?
そんなん思うてへんの知ってるクセにぃ~うふふ
「ごくつぶし」って(苦笑)
うふふってなんだなんだ、この妙なラブラブな空気
シブいお店で静かに呑みたいと思ってるのに・・・
ご主人がふらふらで手洗いに行った間に会計をすまそうとする奥さん
何やら手違いのようで、お店の人と会話がかみ合わない様子
だから奥さん、もう300円出して貰らわなあきませんねん
そうなん?300円?あれぇ無いわぁ
そこへ戻って来たご主人、突然の大声だ
なんやなんやぁお前300円も持ってないでオレに恥かかすんかーぃ
ちょっとヤバい人に変貌したご主人の怒鳴り声は店中に響く
ちゃうねんちゃうねん、お金はあるねん、小銭がないねん
許してあんたぁ、恥かかすつもりやないね~んうううっ
カウンターにしなだれて、およおよと泣く奥さん
なんだなんだこの展開
なんや小銭かいな、小銭なら任さんかい、300円やな?
ほれ、びしーっと払ぉたるわ
とポケットから出した百円玉みっつを大げさな音を立て
カウンターに叩きつける
あんたぁ~さすがやなぁ頼りになるわぁ
あほぉ男がいざ言うときに小銭くらい持ってへんでどないするねん
あんたぁ~
なんだなんだこの劇場
300円でそこまで盛り上がる?もう可笑しいやら切ないやら
笑いを抑えるのに必死で、もう少しで熱燗を吹き出すところ
こんな小芝居を目の前で見ることが出来る街は
そうそう無いぞ?さすが大阪新世界
でもさ
オレの静かな時間返しておくれよぅ
店の名は「酒の穴」
安くて美味くて心地好い穴だった

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