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神宿る山 月山(後) 


 
■山行日:2015年08月01日(土)-02日(日)
■山:月山
■目的:行くぜ、東北
■ルート:リフトトップ(08:50)-姥ヶ岳(09:40)-山頂(11:30)-仏生池小屋(12:20)
     仏生池小屋(06:00)-山頂(07:30)-リフトトップ(09:30)

ほろ酔いでぐっすり眠れた朝
朝食をオーダーした時間は何故か自分ひとりだけ
なのに、キッチンからは、何かを炒めてる音がして「お待たせしましたー」
なんと、オレ一人のために焼き立ての目玉焼き&ウィンナーだ
そりゃ、美味しいに決まってるよ

この小屋のホスピタリタィは素晴らしい
 

ご馳走さまの後は、ゆっくりとお茶を啜りながらボーっとしてると
小屋のお兄さんは玄関口で、バタバタと忙しく、何度もドアを開けては真っ白な外見る
しばらくすると、遠くから何か聞こえ始める、何だ?法螺貝だ

お兄さん、「来たっ!」と素早く玄関を全開にすると、いくつもの茶碗を並べ
ストーブの上でしゅんしゅん鳴っているヤカンからお茶をついで行く

やって来たのは白装束の修験者たち、先達の方が大きな声で挨拶をすると
次々と後続の者たちが土間でお茶を飲み、朝雨に濡れ震える体を癒しては出て行く
80名の修験者たちは、俊敏に入れ替わり立ち代り、一休みした者はすぐに歩き始める
その静かなる振る舞い、濡れそぼる白装束、遠く鳴り響く法螺貝の音に
玄関から見える濃いガスの向こうから、何か厳かな空気が流れて来るような気がする

大峰山系で修験者たちとすれ違うことに慣れているが、何故かこの朝の
荘厳な空気に惹かれ、修験者たちを追うように、慌てて支度をして歩き始めた
彼らの後を追うと、何かあるような、そんな気がして

昨夜の、山の神への祈りは叶わなかったようで
稜線は朝雨に濡れ、ガスに包まれたまま晴れる気配は無い

黙々と進んでいると、先を行く20数名ほどの修験者たちの脚が止まった

何だろう?何か儀式のようなものでもあるのだろうか?

と、先頭の修験者が東に向かって手を合わせる
後続の者たちもそれに倣う
そして一列に並び頭を垂れる

すると、東方のガスがいつの間にか消えていて、厚い雲の切れ間から朝陽が覗く

そのシーンに惹きこまれるように、慌てて東方に手を合わせる
雲はぐんぐんと流れ、青空と、足元に雲海が広がって行く

たった1分ほどのこと、いや数十秒だろうか
その神々しいシーンに想った、この山には彼らにしか見えない神がいる、必ずいると

素晴らしくも奇跡的な青空の下、魂を吸い取られたあとは
白装束の後姿が見えなくなるほど、ゆっくり朝露の中を行く

昨日は気付かなかったが、ちょっとした岩の重なる登り返しに
「行者返し」と記された指標が目に止まる、あぁやはり修験の山だ
と、カメラに収めていると、前方からやって来た4名の老ハイカーたち

 役行者が若い頃、まだ修行が未熟だっちゅうて、ここで戻されたべ

そう言って、謂れを教えてくれた、それが嬉しくて

お礼がてら、近畿の修験道、大峰山系には、あまりの急峻さに
役行者が引き返したとされる「行者還岳」があって、そこは大峯奥駈道と呼ばれ
未だに女人結界門がある、なんて話をしてあげると、皆さん大いに喜んで頂いて

 「やはり役行者さまは凄いべ、日本中に伝説があるべな」
 「んだ、んだ」 

ネイティブ東北弁と関西のニセ東北弁で、神宿る山の空気に包まれて笑い合った
やはり、山好き同志、東西も世代もないよな

んだ、んだ

行者返しから石畳の上に乗る、空は澄み渡り、足元には花が咲き乱れ、東方に雲海が浮く

あぁ、なんだこの美しさは

稜線はどこまでもおだやかで、なだらかで、たおやかで

その美しさは永遠に、空へと達しそうだ

深田久弥は何と言った?優しいと記したはずだ

 優しく それが月山である
 北の鳥海の鋭い金字塔と対照するように、それは優しい

確かに優しい
この稜線はどこまでも優しい
この美しさを優しさに喩えるとは、深田久弥はやはり詩人だ

下山は牛首からのルートでショートカット
登ってくる人たちと、予報を大きくはずして晴れたことを喜び合って下った

鳥海山も、飯豊連峰も、蔵王も、そして昨秋歩いた吾妻連峰も望めなかったけれど
東北の神宿る山
その聖なる空気に触れたことは胸に残るだろう 

まだまだ 行くぜ、東北

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コメント

コメント一覧 (12件)

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    相変わらず読ませますね~

    > この山には彼らにしか見えない神がいる、必ずいる

    あ~・・
    その厳かな気配のカケラでも感じに行きたい・・
    まだ見ぬ東北の山への想い、ますます募ります
    もう、罪作りですよね・・

    んだんだ 0

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    月山、未踏なんだわさ。
    やっぱり早いとこ行かなくちゃなんねえべ。
    で、泊まるならこの小屋だべさ。

    んだんだ 0

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    ルネさん

    ふふっ、ルネ大先輩も未踏のお山に足を踏み入れる
    これって実は嬉しかったりします
    後で、ほくそえんでたりします^^
    でもねー、やっぱ関西からは遠いですよ

    んだんだ^^ 0

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    palletさん

    おやpallet大先輩も未踏でしたか
    これは意外です
    ぜひ、お花のシーズンに、小屋はもっちろん
    仏生池小屋ですね!

    んだんだ^^ 0

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    nikkor14d

    あの白がね、足先まで地下足袋の白って言うのが
    何故か修験者っぽく感じられますね
    あと、ほら貝と行者杖ですかね

    んだんだ^^ 0

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    ゆなさん

    >スロトレさんのが詩人だと思いますーっ(≧∇≦)

    いやいや
    最近、ふとした時に百名山を読むのですが
    ほんと詩人です、やはりフカキューは素晴らしいです

    んだんだ^^ 0

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    東京から、向こうは行ったことがないんだ、んだんだ。

    東北のイメージはあまちゃんとマッサンのくまさんだ、んだんだ。

    いつか行きたいな、佐渡とか、尾瀬とか、神さまのいる山とか
    遠い山へ行きたいんだ、んだんだ。

    うふふ。
    0

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    yakoさん
    ふふっ
    yakoさんの東北イメージは朝ドラから成り立ってるのですね^^
    ま、そんな私も、仙台ってどの辺り?くらいの
    根っからの西日本人だったのですが、最近はちょっとだけ
    東北つうに(ほんまかいな^^;)
    いいでしょ、遠い山って
    これからも行きますよ、遠い山^^ 0

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