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祈りの道をゆく 大峯奥駈道縦走 Last day

- The  Last Day 2010.05.03 -

夜明け前、関東のお二人の目覚ましが鳴る前に、鐘の音で目が覚める
どうやら、ここ玉置神社では4時に勤行が始まるようだ
いそいそと出発準備を始める彼らとは対象に、最後のこの日もゆっくりと朝食を頂く
お互いに、最後まで無事故で熊野本宮へ参りましょう
お二人と挨拶を交わしたあと、左膝の調子を確認するように境内を歩く
昨日の最悪な状態と比べると、膝の調子はまし、それでもムリは出来ないだろう
カラダが暖まるまで、静けさに満たされた境内を独り歩く
5時半には、もう参拝者の方が歩き始めている
さぁ、行こうか、今日が最後の行程だ、何が何でも今日中に還るのだ
6時ジャスト、本殿に手を合わせて出発するが、本宮辻の階段を下る直前気が付いた
朝食の食器を洗うのを忘れてるぞ!?
慌てて宿坊に引き返し、誰も居ない炊事場で皿洗い、何やってんだかなぁ
トレイルへ戻るが、ん?方向が怪しいぞ?地図を確認すると、やってしまったか・・・
玉置神社を超えると、今までの立派な案内板、道標がウソのように無くなるのだ
あの重厚な道標はどこへやら、取り付には字の消えかかった板が立ってるだけ
薄暗い植林に朝陽が射す中、大森山への登りも直登で厳しく
ピークは09時10分、ロスタイム40分ほどか
ピークから40分ほどで切畑分岐だ
大森山からはひたすら植林の中を歩くので展望はない
11時、不動明王像が祀られる五大尊岳
朝食は、この縦走中一番立派なもの、お代わりまでしたのに、もう空腹を覚え
楽しみにしていたお弁当を広げる、玉置神社のお弁当は、ウソのようにずっしり重く
なんと大きなめはり寿司!この1つで1合近くあるぞ?
まさに目を見張りながら美味しく頂き、遠くに果無山脈を望む優雅なランチタイム
五大尊岳からは、厳しい下りとなり、まだまだ修験道が続くことを思い知らされる
金剛多和まで下りきると少し蒸し暑い気がする
ふと足元を見るとシダが生い茂り、高度がぐっと下がったことが分かる
そうだ、もうここまで下ったのだ
地図上のピークは、あと3つだ
下りきった感があった金剛多和で小休止すると、また登り返し
次なるピークは大黒天神岳、登り返しではあるが、もう高度は573.6mだ
下界が近付くにつれ暑さが増す、額の汗を拭いながら何が異変を感じる・・・なんだ?
セミだ、春セミが鳴いてるのだ
釈迦ヶ岳直下の千丈平ではテントが凍り、稜線には霧氷が着いたのに?
それだけ南下したんだなと実感する
更にアップダウンを繰り返しながらも、緩やかに下ると
突然右手の視界が広がり、眩しさを覚える
熊野川だ
この光景を見た逆峯縦走の者は必ず立ち止まると聞く
誰しも立ち止まるだろう、遥か吉野からこの川を目指して歩いて来たのだ
ゴールの予感に自分の脚が震えるのが分かった
吹越宿を越えるともう下るだけ、左膝はやはり痛む
痛むがもう少しでゴールだと思えば厳しい下りも踏ん張れる
林道を跨ぐ山在峠まで下りきると地図を確認がてら、ひと息
日陰に降ろしたザックに背中を預け、地図を手にいつの間にか、気を失ってた
ふと、携帯電話が震えた気がして目覚める、あぁ寝てたのか
電話を確認するが圏外だ、気のせいか・・・
もう一度見ると40分ほど前にメールを受信している
『 お父ちゃん、いつ帰って来るんやったかなぁ 』
やばい!
寝てる場合じゃないぞ、今日中に帰らなければ
今度こそ下りきったと思い込んでいた峠からは林道を越えて、また植林の中を登る、登る、登る
最後の七越峠を登りきると汗びっしょり、もう熊野川は足元に広がる
七越峰の公園では、のどかに遊ぶ家族連れの喧騒が、もう下界だと教えてくれる
公園の水道で顔を洗おうと立ち止まったが、止めておいた
もうゴールだ、顔を洗うのはここではない
公園からもCTは35分、七越峰はやはり七つの峰越えるよう、最後の最後まで続くアップダウン
圏内に入ったのか、ザックのポケットでは、携帯電話が震えている
痛むのはどっちの膝だ?靴擦れはどっちの踵だった?
今は登ってるのか?下ってるのか?
もう、もう登りは無いのか?まだ下るのか?どうなんだ?
最後の力を振り絞って下る、下る、下る
と、朽ち果てたような道標がポツンと立つ道路脇
目の前には目指していた熊野川が、とうとうと流れていた
着いた、ついに辿り着いたのだ
河原に降り立つと、流れに手をやり身を清める
達成感、安堵感、感動、河原に立つと泣くだろうな、出発前に想っていた
でも、それはもっと時間を経て、しみじみと湧き出て来るものだろう
山靴をザックに収め、対岸の大斎原に向かって手を合わせる
想いをこめて感謝しよう
ここまでの行程で出合った人たち、いろんなカタチで応援してくれた山友たち
新宮山彦グループの皆さん、安らぎの一夜を与えてくれた玉置神社
5日間の奇跡的な天候、そして美しくも厳しく、謎に満ちた大峯奥駈道
あぁ、またザックが震えてる、鬼ヨメの心配が伝わるのか
そのヴァイブレーションが心なしか力強い
分かってる、お前のことも忘れていない
私をここまで歩かせてくれた全ての人たち、森羅万象に、想いをこめて、一歩を踏み出す
その流れの冷たさ、80数キロ歩き続けた足が川底の石を踏む痛み
この冷たさと痛み、一生忘れないだろう
そう想いながら、一歩、また一歩、流れの中ゆっくりと大斎原に向かった
 
2010年05月03日16時30分 全行程踏破
 
- The  Last Day 16Km 予定CT9.5H 実績CT10.5H -

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