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残雪の飯豊連峰 頼母木山(後)



■山行日:2023年05月28日ー29日
■山:飯豊連峰(頼母木山)
■目的:初の北飯豊+ハクサンイチゲ群生
■ルート:倉手山登山口(05:00)-頼母木山(13:10)-大石山直下ー頼母木小屋(14:45)
     頼母木小屋(07:30)-倉手山登山口(13:50)

現地5時集合に合わせて民宿では3時半起床
昨夜作って貰ってた美味い弁当を食べながら出発の用意していると
マタギのオヤジがのっそりと現れて一言
「何しに行く?雨ん中に」
あぁもう聞きたくないよ、その雨予報
でも「今日は予約無いから泊れるぞ」との言葉に内心ほっとする
ほら、中止だったらここでもう一泊出来るし(まだ言ってる)



そして4時半集合場所である倉手山登山口駐車場へ
ここでリーダーのK&C夫妻、初めてお会いするA子さんの3名と合流
7名全員が顔を合わせるが、誰も「おはようございます」以外の言葉が出ない
あぁここでも空中戦が始まるのか、と思ったその時
リーダーからのお言葉が沈黙を破った
「こんな天気ですが、旨いビール飲みに行きますか」
なんて素敵な口説き文句なんだろう
その言葉にまんまと乗せられて気付くと頷いてる民宿メンバーたち
ほら、想像通りの展開だ(笑)

本来であれば「足の松尾尾根」なるルートで朳差岳しへ行く予定だったが
登山口への県道が土砂崩れとなり当面は利用できないとのこと
そこでKリーダーが代替え案としてチョイスしたのが「丸尾尾根」ルートで
これは非常に厳しい登りが続くのだと念を押されていた
おまけに代替えルート登山口へは、これも林道の一部崩落で
60分ほど歩かなければならない、となかなかハードルの高い出だし
しかも予報通り小雨がぽつりぽつり
やっと着いた登山口で一息入れると、いきなりの急登が始まる
え?登山口からこれ?と正直ゲンナリする、しかも沢沿い尾根あるあるで
湿度の高さがハンパなく、すぐに汗びっしょり
こんな状態がいつまで続くのだろうか?とどんどんモチベも低下
それでも小雨落ちる中の新緑や花たちが綺麗だったり
昨日お世話になった民宿が遠くに見えたりと
少しづつ気も晴れてくるから、山ヤってほんとに不思議だ


先頭を務めるKリーダー、山をご一緒するのは今回で二回目
常に一定のペースで黙々歩き、ちょうど良い間隔でちょうど良い場所を確保して
立ち休憩や小休止を取ってくれる、さすが山岳会でパーティ慣れしてるな、と
感心しながら頼もしい後姿に付いてゆく


そのKリーダーが立ち止まって、飯豊本山が遠くに見え始めたと告げる
ん?あんなにも遠いのか!かつて一度っきり歩いた飯豊本山の遠いこと
その距離感に飯豊連峰の大きさを改めて知る
いよいよ小雨も本降りへと変わり「夫婦清水」なる水場でレインスーツとなる
そこからは、西方向に朳差岳小屋が見えたり、東にはゼブラ模様の稜線が
見え始めると、どんどんハイになる
そしてルートはいよいよ核心部である雪渓へ
アイゼン装着しピッケルを持つと気も引き締まり
ゆっくりと雪渓を登り始めるとゼブラ模様の稜線が近付いて来た
少しづつガスが流れては現れするそのシーンが美しく

「こんな風景が大好きなんですよ!雨でも風でも最高ですよ!」
何度も何度もK&C夫妻に大声で語ってしまう
きっと聞いてはいないだろうけど
そしてついに稜線へ
そこは「地神北峰」その小さなピークに乗るとどんな風景が待っているのかと
ワクワクしてた気持ちも真っ白なガスに消え失せてしまう
が、そのガスの中から一瞬浮かんだ白い稜線の姿に痺れてしまう
そのシーンはまさに一瞬で、また真っ白な世界へ

いま見えたの、あれはどこ?なんて山?
そう周りに聞くも、風が強くて会話すらままならず
その強風の中稜線を行くと、足元に白い花が
あぁ咲いてくれてたんだハクサンイチゲ
けなげに咲いて待っててくれたんだ
そして今日の目的である頼母木ピークへ立つ
風はもう暴風と言えるレベルで、お互い近付かないと声も聞こえない
そこでKリーダーへ先ほどの稜線はどのこの山なのかやっと聞けた
それは「二王子岳」とのこと
二王子岳(にのうじだけ)
そうなんだ、二王子岳なんだ
その初めて聞く山名の姿に惚れてしまい、気付くと自分だけ稜線にぽつん
いや、分かってる、残雪ならではのゼブラ模様マジックだってことは
でもこうして苦労して登り切った稜線からこんな姿見せられると
8時間雨の直登の疲れなんて吹き飛んでしまう
慌てて皆さんの後を追いながら
このシーンだけで今回の山行は大成功だと確信した
その姿をもっと見ていたかったが雨と暴風に負け
避難小屋へと美しき稜線を進むと、ひとまずザックを降ろし
さらにハクサンイチゲが咲いている大石山方向へと
雨の中を往復60分のお花見ハイキング
小屋へ戻ると、そこにはキンキンに冷えた缶ビールと
暖かなストーブが待っていてくれた
さっそく着替えて濡れたウェアを干し、ストーブで暖まるとほっと一息
さぁあとはもう飲むだけ
Cちゃんによるお肉たっぷりな鍋、A子さんの焼豚などなど
美味いつまみもたっぷり、冷えた缶ビールの進むことったら!
飯豊は福島、山形、新潟の三県に跨る連峰だ
その巨大さ故に避難小屋も多く山域毎に管理がなされているが
実際は今回のリーダーであるK&C夫妻、A子さんが属する会などが
ボランティアで運営されている
その小屋はとても清潔で隅々まで手入れがされていて快適そのものだ


酒が進むにつれ酔っ払い、自分と飯豊の出会いについて披露する
それは2014年の秋、吾妻連峰周回していて明月荘に泊った夜のこと
地元の山岳会っぽい方たちが酒に酔い、山談義に大いに盛り上がり
最後の〆に今まで黙っていたリーダーらしき方が言った
「山は飯豊に始まり飯豊に終わる」
その言葉に応じるいくつもの 「んだ。んだ。」そんなシーンが妙に心に残り
翌年の秋、その言葉に導かれるようにテントを担いで飯豊本山を登った

そんな感じで偶然に誰かに聞いて気になり、それをきっかけに登っていると
その「誰か」と山との縁が残ってる気がする
今も名月荘の二階で飯豊の魅力を力説してた親父さんの顔が想い出せるほど
酔っ払ってそんな他愛もない話しをしていて、ふっと思った
あの時の親父さんの言葉が無かったら、飯豊はまた違ってかもしれない
んだ。

翌朝の下山開始は当然のように雨、もうカメラだのスマホだの
用意する気も失せて、ただただ真っ白なガス、ときおり強く降る雨の中を下る

そうやって雨の中を黙々と歩いてると、昨日の稜線からの風景が目に浮かぶ
結局今回の山行は、我慢の登りと、辛抱の下り
そして稜線からの一瞬のご褒美だった
これはこれで飯豊らしい山行じゃないか
んだ。


6時間オーバーの雨の下山を終え、みんなで温泉に直行すると湯上りに解散
今回の山行のお礼と、稜線から見た景色が忘れられないと熱く語ると
「もう飯豊病にかかってますね、定期的に飯豊に通院しないとダメです」
そう笑われて、確かにそうかもしれないなと自分でも納得

じゃ、秋にもぜひ行きましょう、今度こそ朳差岳に行きましょう
そう約束して北飯豊の山旅は終わった




下山後の事
小屋での会話を覚えていてくれたようで、Cちゃんが自分の記録を確認すると
2015年秋に初めて飯豊を登った日、なんとK&C夫妻も同じ日に飯豊本山を
歩いていたことが分かった、もちろん当時はお互い見知らぬ登山者どうしではあるが
そんな偶然にまたもや人と山の縁の不思議を想うのであった



special thanks
K&C夫妻:夫婦小屋番かっちん&ちいちゃん
A子さん:新潟の素敵な姐さん♡アキちゃん
そしていつものbebe夫妻とキキさん

コメント

コメント一覧 (4件)

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    飾らない言葉で、甘酸っぱくてほろ苦い。
    センチメンタルなようで、そうでも無い。
    グイグイと山旅の中に引き込まれます。
    文章もだけど、写真が良いわ~
    カッコいいわ~語るわ~

    皆さまがカッコよいです。 2

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    yakoさん

    >カッコいいわ~語るわ~

    ↑ めっちゃ笑いました、イジってますねぇ
    すみません語りたがり屋なものでして^^
    今回はずっと雨だったのでほぼiphoneです
    おまけに雨で濡れてタップもスワイプも出来ず
    何の調整も出来なかったので画像はさっぱりプーです
    こう見えてもセンチメンタルです(何のこっちゃ^^;) 2

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    >マタギのオヤジがのっそりと現れて一言
    >「何しに行く?雨ん中に」
    一夜の宿を提供した若者たちを心から心配してたのでしょうね。
    夜明け前にわざわざ顔を出した親父さんの一言
    様々な思いが感じられて胸に迫りました。

    スロさんの<カッコいい語るレポ>とは比べ物にならないけど
    大昔の私の飯豊レポ??
    笑っちゃう代物なんだけど、もしまだ見てなかったら見てね(^^ゞ
     https://sorairo02.exblog.jp/27470938/ 3

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    palletさん

    >一夜の宿を提供した若者たちを心から心配してたのでしょうね。

    いえいえ、単なるからかい半分、営業半分です
    ニヤニヤ笑ってましたから、って言うか若者たちって(^^;
    レポ拝見しましたよ!素晴らしい!あのですねー
    90年代でしょ?媒体はともかくとして、これって立派なブログですよ^^
    可愛いイラストが文章に付いてるのも挿絵っぽくて味があるし
    何より文章が!天狗男に刀男って、飯豊ってそんな人の集まり?(笑!)
    元ネタの「小K死ぬ」「小K復活」も、ちょっと声出して笑いました
    こうして残してるのが良いなぁ、今お仲間に見せても盛り上がるでしょうね(^^
    素敵な記録ありがとうございます 2

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