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夏山の情景 木曽駒ヶ岳(後)

ついうとうと昼寝なんてしてる間に陽が傾きかけて
おいおい、今日のメインは山頂からの夕景だったのに間に合わないぞ


慌ててコルまでカメラを持って急ぐ
すると、中岳の巻き道に沿ってカメラを持った人が並んでる
なるほど、ここからでも夕景は楽しめるんだな

御嶽山の方から立ち昇る雲が瞬く間に広がり、音も無くこちらへと忍び寄り

谷を覆い、森を隠し、このまま我々も白い静寂に飲まれるのではないだろうか
そんな錯覚を起こすほどだ
その様を静かに見守るギャラリーたちの影が伸びて行く


残念ながら赤く染まることは無かったが
夏の山の情景を充分すぎるほど堪能することが出来て
なんだかそれだけで来て良かったなと思えてしまう
テン場に戻ると驚いたことにこんな時間になってもザックを背に
テントを張れるところを探している難民の姿がある
いや、いくら何でもこの時間に?そもそも三連休に?ちょっと甘くないか?




そんな状況に響き渡ったのは、直ぐ後方のオヤジの声


「ひと張りだったらスペース作れるよ」
今まで見て見ぬふりのクセに、難民が若い山ガールだと急に親切なオヤジに苦笑い




ったく、オヤジって、と笑ってる目の前に


「ここに張らせてもらって良いですか」と妙齢のご婦人
マジか?いや、どう見てもムリだけど・・・と一瞬躊躇したけれど、もう日没だ
仕方なくガイラインを外すと荷物を出してどうにか30cmほどテントをずらしてあげた


すると器用にもぎりっぎりのスペースでソロテントを設営する妙齢のご婦人
なかなかの手際の良さに感心、って感心してる場合じゃないし
オレのベストポジション、東向き、日当たり良好、風光明媚な好立地は
あっと言う間にビンボー長屋状態に




朝焼けは、静かに、そっと始まっていた
ビンボー長屋では、その朝焼けをテントから見ることは出来なかったけれど
寒さに震えながらテン場に立って朝焼けを待つ、これも夏の情景のひとつだ




さぁ、陽が昇ると下山だ
暑くなる前に、そして今日の登山者がやって来る前に千畳敷まで下るのだ




もう既に雲海が広がる姿を背に中岳へと岩場を急ぎながら
下山は巻き道を選択する手もあったなと後悔
でも振り向くたびに雲海が波打ってゆく姿を眺めながら登るのも良しだ




中岳からも御嶽に目が行ってしまう
なぜに自分は、こんなにも御嶽に惹かれるのだろうか
いや、深田先生も日本百名山には
「何より立派なのは西方に大きく裾を拡げて泰然とそびえた御嶽」と記されていたはずだ




中岳から乗越浄土へ向かいながら
目の前に近付いて来る宝剣の姿を見て思った
この山は登るよりも、ここからこうして見上げる方が良いな
と、最後に宝剣岳の屹立するピラミダルな姿に見とれながら下山した




ただテントでぼーっとしたい
それだけでやって来た17年ぶりの木曽駒ヶ岳
そこにはキラキラと輝かんばかりの夏山の情景があった


コメント

コメント一覧 (2件)

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    さすがスロさん、ゆったりのんびりオトナなテン泊。
    たまにはこんな山歩きするのもとってもお似合いで素敵です(^^。
    宝剣って、ここから見ると本当にどっしりとした剣先のようですね。
    大昔に登ったことあるのですがこんな立派な姿をしてたかしらと
    びっくりしながら拝見しました。
    そうそう、私の初テン泊が木曽駒だったんです。
    懐かしいこといろいろ思い出しました、ありがとう♪ 1

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    palletさん
    ゆったりのんびりオトナなテン泊とは、たいそう聞こえが良いですが
    言い換えれば、ずぼらな手抜き山行だったかと(苦笑!)
    ま、もともとそんな風にのんびりしたかっただけなので。
    palletさんは木曽駒がテン泊デビューだったのですねー
    それは想い出深い場所でしょうね、懐かしく感じて頂ければ嬉しいです
    そうそう私も宝剣の姿に、カッコよさを再発見しました^^ 1

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