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美尾根 赤鞍ヶ岳

■山行日:2026年1月25日
■山:赤鞍山
■目的:稜線歩き
■ルート:道志村役場(07:30)-赤鞍山(09:50)-朝日山(10:50)-道志村役場(12:00)

菰釣山赤岩、二十六夜山と立て続けに道志山塊を歩いている
その周辺の情報を集めていると、美しき尾根道の画像に出会った
特にそこに注目している情報は見当たらないが、一目で歩きたくなった。
その山の名は赤鞍山
土日限定で登山者へ解放されている道志村役場駐車場から歩きだす
まだ、道志みちには朝陽が届かず、凍てついたアスファルトをとぼとぼと
道志みちから反れ、林道を登ること20分で登山口だ
例によって植林の中をじぐざぐに登ること20分、急に植林の影が消える
目の前には鉄塔、下とは草木が仮払われたような丘
そして振り向くと富士山

ふぅ。村役場から60分ほどでこの景色とは
地図によると厳道峠・道志村分岐と記されているところから急登が始まる
低山ならではの、え?こんなに急なの?と驚くほど地図では分からない急登
なかなかの急登に汗をかきながら詰めてゆくと、ゴトウ石と記された岩
ここから、さらに急登は続く
おいおい、これどんどん急になってるぞ?
と訝りながら詰めてゆくと、足元は危うい岩場となる
その岩はぽろぽろと崩れ、登りにくいことこの上ない
木の根をつかみながら岩場をやり過ごすと、急にフラットな植林となり
その植林を進むと、やっと稜線に出合った

大きく広がる稜線を西へと進むと、ゆるくアップダウンしながら
やがて細尾根のようになり、ネットでみた美しい尾根道となってゆく
時おり、トレイルを外して北斜面へと下ると、中央道の向こうに広がる
奥秩父の山並みが見える

うんうん、思った通りの稜線の姿に笑みが浮かぶ

そして、振り返る南の方向には、西丹沢の稜線
大きな大きな、大室山の姿に圧倒される
軽く下って登り返したところ、おもむろに現れる人工物に驚く
昭和40年設置の雨量観測所だった
60年近く前のものだ
雨量計測所からすぐのところ、赤鞍ヶ岳ひとつめのピーク
山名板には「ワラビタタキ」と「赤鞍ヶ岳」記されている
この赤鞍ヶ岳の山頂は二か所あり、その二か所ともに別名があるとのこと

なんと複雑な山なんだろう
そして美尾根は続く
まだまだ続く

スキップでもしたくなるほど、ご機嫌なハイクだ
アップダウンを繰り返して岩峰(ウバガ岩)に立つ
ここからの眺めは、晴天であったら最高だろう

大室山からの西丹沢の終端まで、箱根外輪山からの富士山
そして南アルプス、きっと冬枯れの季節ならではの展望だったろう
しかし
予報通りではあるが、どんどん雪雲が沸き上がり
富士山さえも隠そうとしている今、そんな展望はガスの向こう

それでも続く、美尾根は続く
入道山を経由する下山路との分岐、秋山峠で脚を止める
お気に入りの冬チョコレートで休憩し、ふっと気付いた
よく考えたら、今の今まで誰一人会っていない
さすがにマイナーな道志山塊だ
秋山峠から次なる赤鞍ヶ岳のピークへと進む
なだらかに続く稜線は広がり、それまで重く居座っていた雪雲が消えた

突然の青空が、稜線の美しさを際立たせてくれる

そして二つ目の赤鞍ヶ岳、こちらの別名は朝日山
突然広がるフラットな山頂

いつ誰がここを歩いたのだろうか、そこには誰の気配もなく
ただ、乾いた風が静かに流れるだけ

なんと寂しい山頂だろうか、なんと静かな森だろうか

沈黙の森を見下ろす冬の空
その澄んだ青さは、森の静けさを映しているかのようだ

しばし、ブナの森を彷徨うと、枯葉を踏む音だけが静かに響く
それは、いつか誰かが置き忘れた記憶を踏む音のように
静かに静かに響く
ふたつめの山頂を後にすると、峠まで戻り、入道山を経て林道まで下る
峠からの下り始めは、稜線に乗っかる直下の岩場と同じく
ぼろぼろ崩れる石を掴みながらの下りに汗をかいた
林道まで下りきると、目の前には西丹沢
富士山はもう完全に隠れてしまった

二週続けての道志山塊、今日も道志の湯につかり
静寂と言うには寂し過ぎる山の余白に浸りながら
名もなき小さな峰々と峠、そして美しき尾根道を想う

あの美尾根、若葉の頃には、どんな風に輝いているのだろうか
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