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雨の物語 大台ヶ原

■山行日:2017年05月27日(土)
■山:大台ヶ原
■目的:滝と花と夕景と
■ルート:駐車場(09:30)-東ノ川(12:00-13:00)-大蛇嵓(15:40-17:00)-駐車場(19:00)

毎年シロヤシオの咲く頃は必ず帰阪して
大峰山系、台高山系の山を、関西の山友と歩くことにしている

今年はどこに行こうか
山友とのグループLINEで、明神平から笹が峰の花回廊
久しぶりの薊岳エリアの稜線散歩など、花と新緑をメインとした
いくつかの案が出ていたが、今シーズンは開花が少し遅れてるのと
直前になってメンバーが二人だけになったことで
急遽行き先を大台ヶ原のバリエーションルートとした

山の大先輩、ルネさんと企んだのは
滝見、花見、夕景
大台ヶ原の魅力を詰め込んだ欲張り山行だ

■バリエーションルート滝見尾根
 
その昔、大台ヶ原には、シオカラ谷から谷底である東ノ川へ降りきり
中ノ滝、西ノ滝を鑑賞し、そこから千石嵓脇を登り返す周回ルートがあった
このルートの存在を知り、過去に二度谷底まで降り、さらに千石嵓から
降るルートを探しに、今では利用調整区域となり許可無く立ち入れない
エリアを彷徨って歩いたことも有る

それほどまで、この紀伊山地の秘境に惹かれていた、いや惹かれている
今ではすっかり廃道となり、テープも無く、ただ荒れ果てた滝見尾根は
ビジターセンターによると、調整区域外なので立入りを禁ずる強制力は無い
しかし、800mの激降りと、後半のヤブ、大昔の歩道の名残である
朽ちたハシゴ、剥き出しになった鉄杭など、障害物も多く残るため、決して
気軽に入山出来るエリアでは無い

■花散る尾根

駐車場からは、一般的な周回の逆ルートでシオカラ谷へと降る。その昔
千石嵓の上に立ち、そこから東ノ川へ降るルートを探しに歩いた
その取り付き辺りには、今や利用調整域である大きな看板が立ち行く手を
塞いでいるが、あの千石嵓からの眺めと森の深さ、もう一度歩いてみたい

あるポイントから登山道を離れ、尾根芯を下って行く、相変わらず荒れてて
新たなテープも無いってことは、きっと今も沢屋さんしか歩いていないだろう
シロヤシオとツツジの花びらが散る尾根を、木漏れ日が射す
ときおり見上げる空は、雲ひとつなく、空気は澄み渡っている
こんな素晴らしい日に、紀伊山地の最深部を歩けるなんて

■滝見テラスにて

三度目となるルートだが、ときおり小さな嵓をどう巻けば良いか不安になる
尾根の両脇は切立った崖、もし滑落すると終わり、そんな尾根をずんずん
ずんずん降ると、ぽつんと立つ二本の樹、その合間から空と滝が見える

滝見テラス、と勝手に命名している、この展望地からは、まさに目の前に
西ノ滝と中ノ滝、二本の滝が音を立てて落ちている、そして視線の高さに
広がるのは、西大台の森だ

この二本の樹がフレームとなって切り取られた風景、これだけを目的に
400~500m降る価値があるだろう、せめてここまでのルートを復活させて
欲しいものだ、いや、こうして我々以外誰も居ない静けさが
このルートの一番の魅力かもしれない

■雨の物語

テラスでしばし休憩すると、ザックをデポし、さらに400mを激しく降る
鉄杭に脚をとられないよう、ササのヤブに刺されないように注意しながら
ずんずん、ずんずん降る、最後は巨岩の脇のヤブを垂直に落ちるように


やっとの思いでたどり着いた谷底、晴天続きのせいか、水量が少なく
いつもより迫力に欠けはするが、秘境中の秘境、紀伊山地の谷底
そこから見上げる二本の大滝、西ノ滝は150m、中ノ滝は245mの落差を誇る


日本最大の降雨量と言われた大台ヶ原の雨、それはわずか15キロ南方
熊野灘の暖かな黒潮がもたらす水蒸気が、この大台ヶ原の断崖に阻まれて
一気に上昇気流となり、高度7000mの積乱雲となって森を覆い尽くし
やがて、棒雨と称されるひとつぶが大きな雨となって降り落ちる

その雨は大台の森が育む自然の成分を蓄え、いく筋もの流れが沢となり
そして、この大きな三本の滝へと集まり、やがて熊野灘へと還り
その冷たい雨水を受けた黒潮が、また水蒸気となり・・・

耳が痛くなるほどの静寂と、滝の落ちる音に包まれて
古より永遠に続く、紀伊山地の雨の物語、その壮大なるストーリーを想う

■石楠花坂登る

谷底で、新緑と滝に酔った後は、また800mを激しく登り返す
これって、すでに一山を登山してるよなぁ、なんてこぼしながら
登山道へ戻ると、まだ大蛇嵓までは登りが続く

この登りは石楠花坂と名付けらたように、登山道を石楠花の樹が覆う
滝見尾根で疲れた足腰に、このゆるい登りが堪えるが、ブナの新緑と
石楠花の赤、澄み切った初夏の空が素晴らしいコラボレーション
何度も立ち止まっては、空を森を見上げて歩く

大蛇嵓から大峰のシルエットを眺めると、やっとランチタイム
少し長めの休憩時間をとることにしたのは、今回の山行コンセプト
滝見、花見、そしてもう一つ、正木峠からの夕景までの時間調整だ

石楠花の下、大峰を眺めながら、手作りのお弁当を頂く
いつも、いつも、ありがとう


■永遠の夕景

幾重にもたなづく雲は、時として風景を隠し、時として風景を鮮明にする
この峠からの夕景は、もう何度見たことだろうか、でも何度見ても
一度として同じ風景にはならない、今日もほら、流れる雲が夕陽に照る
立ち枯れの森を、白い木道を、笹の海原を、一瞬一瞬で色を変えて行く

その色は、見慣れたこの風景を、まるで初めて歩いた山のように見せたり
また、懐かしさに胸を締め付けられるように見せてもくれる

こうして、この峠に立ち、ふと想うのは、あと何年この景色に出会える
のだろうか、いつまでこの景色はあるのだろうか
そして、自分はいつまで

雨の物語、初夏の大台ヶ原の美しさ
いつまでも

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • SECRET: 0
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    滝の迫力に魅了されます。
    地図を広げると名瀑100選とあるし、、、
    行ってみたい感満載になります(^o^*)/今は駈け回りたいのでもう少し後にとっておきますが。
    何度も行ってる大台ケ原の魅力を再認識しました(^o^*)/ 0

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    ジオンです
    何とその日は大杉谷に居て、10数年来の念願の縦走をして、
    桃ノ木山荘に泊まってました。
    しまった~、事前にルネさんに連絡すべきでした。
    翌28日に大台ケ原に、、。
    kinokuniさんと約束していた大台ケ原への縦走をやっと歩くことが出来ました。
    スロさんとルネさんの大杉谷~大台ケ原の縦走のレポを見て、、今年は絶対に行こうと思ってました。
    遠いけれどいいところでした。
    次回は大台ケ原のバリを歩きたいと思ってます。
    水晶探しに、、です(^-^)V

    0

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    nikkor14dさん
    そーなのです、名瀑なのですよ
    この日はあまりにも水が少なくてアレでしたが^^;
    まぁ、nikkor14dさんでも、ここは駈けることが
    出来ないので、後のお楽しみにとっておいて下さいな^^ 0

  • SECRET: 0
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    ジオンさん
    えー!そうなんですかぁ
    いいなぁ桃の木小屋泊りって、私たちは死にそうな
    目に会いながら一気に縦走でしたから^^;
    しかし、近いエリアに居たのですねー
    この滝見尾根もぜひ!え?水晶?
    なんとまぁ、冒険山行ですねー(^^) 0

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