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十二月の旅人へ  追悼 大滝詠一


 
あれは、まだ学生時代、ある夏の日曜日の午後のことだった
梅田の阪急グランドビル、確か楽器店のあるフロアを歩いていた時だったと記憶している
人だかりに誘われて付いて行くと、小さな会場でオーディオ機器の発表イベントが始まっていた
少し興奮ぎみの司会者の説明によると、会場中央の机に乗ってるいるのが
アナログレコードに代わる次世代のオーディオ機器、ディジタルCDプレイヤー・・・だった
この媒体によって音楽の記録は大きく変わると、力説しながら小さな円盤をセットする

「世界で最初にCD化された20枚のうち、日本からこの一枚が選ばれました」

そんな紹介だったかと記憶している、何故そんなことを記憶しているかと言うと
その時オーディオセットから流れた曲のインパクトが大き過ぎたのだ
ピアノに合わせてチューニングする様子、4カウント、そして大音量で流れるイントロ
 

音質とかディジタルとか分からないけど、その迫りくる大きな波の様な音に圧倒された
イベントが一度お開きになっても、まだボリュームを下げて流れるアルバム
ロックしか聴かない小僧が、初めて触れる上質なポップスに我を忘れて聴き入っていた
その日の夕方、梅田から1時間かけて最寄駅に戻ってレンタルレコード店で早速アルバムを借りた
・・・ラジカセしか持っていないくせにだ
そして、同じ学校の友人の家まで、また1時間電車に乗って行き
友人の帰宅をさらに1時間待たされて、やっとプレイヤーでカセットに録音してもらった

それが
大滝詠一の名アルバム、ロングバケーションだった

その後の Niagara Triangle 2 、EACH TIME 、松田聖子を初めとする幾多のプロデュース曲
街でもプールでもゲレンデでも
80年代はどこに行っても大滝詠一が流れていた
きっと、同世代の人たちは、少なからずも何曲かは思い出があるだろう

もちろん私にも・・・
バイト生活だけで無為に過ぎて行った夏の日々も
初めて女の娘と行った栂池スキーツアーのことも
もちろん恥ずかしいほど苦い恋の思い出も

いろんなシーンたちが、松本隆の紡ぐ言葉と
大滝詠一が再現するポップスのマジックに乗せて、今も記憶の隅々に残っている

その大滝詠一の訃報は2013年最後の日、夕方のカーラジオから流れてきた
その時は、亡くなったことのショックよりも、何故か秋に行った山下達郎のライブで
「大滝さんが好きな楽器です」とハンドベルを紹介してたことを想い出しただけだった
それでも年が明けると、無意識に、ネット上でいろんなアーティストの言葉を探していた
そして、4日の葬儀の後に目に入った松本隆のツイート
それが、ぐっと胸に来た

   今日、ほんものの十二月の旅人になってしまった君を見送ってきました
   眠るような顔のそばに花を置きながら、 ぼくの言葉と君の旋律は
   こうして毛細血管でつながってると思いました。
   だから片方が肉体を失えば、残された方は心臓を素手でもぎ取られた気がします

   北へ還る十二月の旅人よ
   ぼくらが灰になって消滅しても、残した作品たちは永遠に不死だね
   なぜ謎のように「十二月」という単語が詩の中にでてくるのか、やっとわかったよ
   苦く美しい青春をありがとう

   松本 隆

大晦日にカーラジオから訃報が流れた後
ローカルFMは、奇しくも松本隆がツイートに引用することになる「さらばシベリア鉄道」を流していた
特別好きな曲ではなかったけれど、これもまた想い出に残るのだろう

偉大なるポップスの神は永遠に
 
合掌

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コメント

コメント一覧 (8件)

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    恋するカレン
    しあわせな気持ちになるような
    さみしさを忘れて、切なさも懐かしく思うような
    今聞いても、鈴の音みたいに
    やさしい歌声のひとだったね。
    風たちぬ~、今は秋~、も好きでした。
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    私もビックリするニュースでしたね。
    私は中2から、ずっとTULIPのファンでした。
    CAROLも好きだったんで永ちゃんも好きでハウンドドックも好きでした。

    むかし、音楽雑誌でTULIPサウンドは水のようなものだ。
    美味しくお酒を飲んでも、酔いざめの水の味はアルコールに勝る。

    結局、永ちゃんもハウンドドックもB'zもエエ、曲が一杯あるんですけど聴き疲れるんですよね。

    今もずっと好きなのはTULIPです。
    コンサートにも何度も行きました、バンドが好きですしリードギターの安部さんが大好きです。

    ちなみにTULIPのリーダーの財津さんも松田聖子チャンには曲をたくさん提供しています。 0

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    A LONG VACATION・・・
    当時、オンボロビートルに乗って美大に通うヒゲにロンゲの変態学生でした(笑
    ご多分に漏れずレンタルレコード借りてた口ですわ。
    カセットに録音してテープが擦り切れるくらいヘビロテしてた記憶があります。
    僕が青春時代に聞いた楽曲の中で最もインスパイアされたアルバムでもあります。

    柳ジョージもいいけど大滝詠一のメロディは幸せな気持ちになれました。
    何気に気になって調べてみたら二人は同じ歳だったのですねぇ
    このへんの世代ってカッコいい大人達が多いんですよねぇ♪
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    yakoさん
    そう、優しい声でしたね、鈴の音って表現は旨いですね!
    大滝さんはハンドベルって、鈴をバックに使う曲が多くて
    それも鈴の音の印象が強いのでしょね
    恋するカレン、これはもう、アレです、涙なくして歌えない(涙
    そんな想い出がつまってます
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    鳥さん
    あの頃は、ユーミン、佐野元春、細野晴臣、甲斐よしひろ、といろんな
    アーティストが松田聖子に楽曲を提供してて華やかでしたよねー
    中でも風立ちぬのアルバムは、A面が大滝サイド、B面が財津サイドで
    張り合ってる感があって松田聖子ファンでもないのに、よく聴いてました
    懐かしい想い出です 0

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    katsuさん
    >当時、オンボロビートルに乗って美大に通うヒゲにロンゲの変態学生でした(笑

    アカン、これワロタw、だってkatsuさんのイメージそのまんまやし!
    やっぱ同い年ですねー、ほんとkatusさんとは一回、山の話題
    ヌキで一晩呑みたいですね
    柳ジョージ、大滝さんと同い年でしたか、そうですか、そうかぁ・・・ 0

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    同世代だからこそ共感できる部分が多いですね
    レンタルレコード、聖子ちゃん・・・・・
    同じ時間を生きてきたんですね

    僕たちが灰になったら何が残るんだろう?
    すべったギャグだけが語り継がれるのかなぁ
    0

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    oyajiさん
    やぁ、同世代!ってかオヤジさんとは、この手の話題は
    結構語ってるような気もしますが^^;
    すべったギャグ?多すぎて誰も覚えていないかもしれませんね^^ 0

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